D御柱の山出し

 山出しは、祭典の一ヵ月前、寅年の場合は初寅の日、申年の場合は初申の日に行なうのが
慣例となっています。
 当日は、神職、氏子総代、杣役、テコ役氏子総代全員が献木する家に集合して神事を行ない、
神事が終わると、当家のお祝いを木遣りで歌います。


この時の木遣り歌

 おめでたや、おめでたい 
 七年一度の、御柱
 今日は、幕開け、山出しの山出しの
 めでたい、祭りの、初日なり

 (三句ほど献木家のことをほめる)
 @場所をほめる
 A木をほめる
 B家をほめる 

 今日の、良き日に、恵まれて
 氏子の、皆様、総出にて
 力そろえて、引き出して
 和田の、町へと、出たならば
 上新町町へと、引きつけて
 四月○○日の、その日まで
 所定の、場所にと、安置すりゃ
 明神様が、およろこび
 ○○さんも、およろこび
 氏子の、皆様およろこび
 ヨイヨイ、ナラバヤットクレ

    御柱山出し

 この神事を終えると、献木となる木は、御柱と呼ばれるようになります。
この家の神事が終ると、集まった人たちに一般の人たちも加わって、御柱が休んでいる山に集まり、
御柱の清め祓い、参加者全員の清め祓いの神事の後、御柱を引き出します。

この時の木遣りの歌

始まったぞ、よう始まったぞよう
頃は延暦元年の
桓武天皇
(かんむてんのう)の御時に
始まり申した御柱
只今ここから引き出して
七尾根・七久保 七里越えて
首尾よく明神様の御庭まで着いたなら
明神様もおよろこび
あまた氏子もおよろこび
それならよいよいやってくれ


 杣役、テコ役の采配(さしず)によって御柱は動き始めます。
「ヨイショ、ヨイショ」の掛け声に混じって、木遣りの美声が、遠山の里に響きわたります。
また、多くの見物人が御柱を街道まで迎えてくれます。
 街道に曳き出された御柱は、御柱を出した家の庭まで引き寄せられます。                                

この時の木遣り歌

 止まった、止まった、止まった
 七年一度の、御柱
 この御柱の、家元の
 ○○さんの、門前に
 めでたく、引きつけ、止まった
 一家、一門、始めとし
 自治会中の、皆様が
 にこにこ顔で、お出迎え
 お庭の、松には、鶴が舞い
 お庭の、池には、亀泳ぎ
 お家、繁盛と、舞遊ぶ
 ア おめでたや、おめでたい
 捧げた、ご新酒を、山と積み
 サアサ、皆さん
 祝って呉よと、申される
 その喜びを、分け合って
 サーサ皆さん、頂戴致しましょう

 ここで一休止となります。
御新酒の大振る舞いをうけ、昼食を食べてから、御柱の安置所へむかって出発します。


この時の木遣り歌 

 心づくしの、お祝いを
 時を忘れて頂戴し
 心残りじゃ、あるけれど
 四月○○日の当日に
 又もや、お祝い、申す様にも
 早や時間も経過すりゃ
 さぞや疲れた事でしょうが
 力合わせて、引付けて
 所定の、場所に安置すりゃ
 明神様がおよろこび
 ○○さんも、およろこび
 氏子の皆さんもお慶び
 ヨイヨイ、ナラバ、ヤットクレ

 出発して、遠山の繁華街を通るとき、一休止するたびに、古老や若者が、次の木遣り歌を
うたって祝います。


この時の木遣り歌 
 
 おめでたや、おめでたい
 伝統輝く、式年祭
 今日が初日だ、山出しだ
 御柱祭りも、もうすぐだ
 村を挙げての、この祭り
 人で埋まる、和田の町
 子供も、孫も、皆帰る
 支度して喜ぶ、おふくろさん
 商栄会は、大繁盛
 四月○○日を楽しみに
 上新町へと引つけて
 所定の場所に、安置すりゃ
 明神様が、およろこび
 ○○さんも、およろこび
 氏子の、皆様もおよろこび


 再び曳き出します。曳き手は声をきそい
「ヨイショ。ヨイショ」で安置所まで引き寄せます。


この時の木遣り歌 

 さぞや皆様
 お疲れに、なった事でしょう
 七年一度の御柱
 ○○さんが、献木の
 この、み柱が、つつがなく
 無事に、所定の場所にと、安置した
 四月○○日の、その時は
 また、皆様のお力で、引いとくれ

        御柱は安置所から曳き出される。


 御柱が安置所に曳き寄せられますと、神事が行なわれ、山出しの行事は終了します。

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