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新井ライブが終わってしまった

2004年5月18日、19日の二日間に亘って新井英一飯田ライブ魂の風vol. 3.0がライブハウスキャンバスで行われた。99年、02年の常信院に続いて三回目。

18日はシャンソンを中心に19日はブルースを中心としたプログラム。

一日目、私たちがいつも新井さんに待望するライブのタイトルの「魂の風」、志半ばで夭折した友への鎮魂歌。前回は新井さんがご自身の夢である韓国公演を実現させた後でプログラムには入らず、新井さんに「今回は歌わずゴメン」と、謝られたことを思い出す。だから今回は5年ぶりに聴く曲だ。年齢を重ねることは知己との別れを重ねることでもあり、曲の間中亡き友人や父母を思い出してハンカチを忘れた私はTシャツの裾で涙を拭うばかりだった。

二日目、新井さん自身が青春時代に聴いた思い出のブルースを何曲も歌ってくれた。焼酎が腸に沁みておそらく、新井さん自身も青春時代にタイムスリップしていたに違いない。1時間30分ほどを通常のショータイムとする新井ライブだが、予定の時間をオーバーして濃密な新井ワールドに浸れた私たちは幸せでした。個人的意見を一言、「ニューヨークへの旅」をライブで初めて聴けて良か〜〜った。

今回のライブは人集めに最後まで苦労をした。18日、懇願をして来てもらった人たちがいる、私に義理を感じて来てくれた人たちであったが、初めて新井さんの唄と望さんのギターを聴きすっかり度肝を抜かれ、スピリッツに感じ入った彼らは19日に再びライブに来てくれた。おかげで19日はリピーターも多く満員になってくれた。まさに新井さんと望さんの実力をみた思いだ。

新井ライブは終わったが私はまだ新井モードの中にいる。昔、ブルース・リーや高倉健を観て映画館を出てきた時の気分に似ている。友達同士で「アッチョォォー」と叫んだり、橘真一のように虚空を見つめたり、あれは感動の表現。

今、私は新井英一になって背筋をスーと伸ばし「しわがれ声」で「こんにちは、ありがとう」、と友人に挨拶をしている。♪人の気も知らないで‥‥♪と新井気分で唄えば妻と子は完全に馬鹿にしきった視線を私に浴びせてくる。しかし、それも今の私にはとても快い反応だ。皆に軽蔑の眼を向けられようと、ライブを終えた安堵と虚脱のなかでもうしばらく新井気分に浸っていたいと思う。

次回のライブは未定だ。しかし、新井さんが唄い続ける限り数年毎になるが来てもらいたいと願っている。

2004/05/23
谷川大門