田・下伊那における帰国者支援活動の現状と今後について  

 このページは、中国帰国者への理解を深めるためのページです。
   
  「中国帰国者支援活動の記録」と併せて、ご活用下さい・。
 
 長野県は戦前、全国一の満蒙開拓団(全国の12%)を送出しました。なかでも「南信州」と言われる飯田・下伊那地方は特に多く(県内の25%)の開拓団を満洲に送り出しました。そうして、20年8月9日のソ連軍侵攻と、これにつづく敗戦により、多くの犠牲者と多くの残留孤児・婦人を生じました。現在、私たち飯田・下伊那地方には中国残留孤児・婦人の本人方がおよそ、140名が生活しています。
 これに同伴家族の方々の2世,3世を含めると1,230名ほどの方々が暮らしております。このほかに呼び寄せ家族の方々を含めると4、000人以上の皆さんが暮らしているといわれております。
 
 中国帰国者支援活動は、行政支援をはじめとして飯田日中友好協会が中心となって、多くの郡市民の皆さんの温かい支援・協力に支えられ、他の地域では見られない多くの支援活動が進められております。特に2004年4月から実施の長野県独自の愛心使者事業は帰国者の経済的な支えのみならず、精神的にも大きな支えとなってきました。
 現在までに飯田日中友好協会などが行ってきた主な支援活動は下記の通りです。
   (今までの主な支援活動)
■詳しくはここをクリックし「中国帰国者支援活動の記録」をご覧ください。 なお、「満蒙開拓平和記念館」に、何故「残留孤児・婦人が  発生したのかを含め、分かりやすく解説してあります。この「」中国帰国者支援活動の記録」 冊子(有料)をご利用下さるようお勧めします。
 
  ◇ 帰国者連絡会の立上げによる自立支援活動の組織化と交流会・親睦会の活動支援。
  ◇ 飯田日中友好協会による身元引き受け(保証人)制度の登録と実践。
  ◇ 帰国者家族への住宅・家財・寝具等生活支援の実施。
  ◇ 公立病院への日本語通訳の派遣の要請とその実現。
  ◇ 帰国者家族の共同墓地の建設提供
  ◇ 帰国者日本語教室の開設と実施(その後、高齢帰国者向け日本語教室の受託事業の実施。)
  ◇ 帰国者生活実態調査の実施と支援策について関係機関への陳情・要請。
  ◇ 上記運動をきっかけに、04年 4月から長野県独自の愛心使者事業(月/3万円の見舞金)の支給が行われました。(新支援法に移行)
  ◇ その後、「中国残留日本人孤児訴訟」が2002年12月東京地裁に提訴され、これが全国に拡大、東京判決の2007年1月30日(原告団敗訴)の夜、政治的解決     へと動き、原告団、弁護団の運動が実り、2007年11月28日「新支援法」が成立。@老齢基礎年金の満額支給A生活支援金の給付金の支給B地域における    生活支援の3つを柱とする「新たな支援策」が実施された。
  ◇ 新たな「支援策の実施状況」のフォローアップを独自に行い、帰国者の悩み相談、世話活動の展開などきめ細かな支え活動の展開してきた。
  ◇ 「満蒙開拓を語りつぐ会」「満蒙開拓語り部の会」等を立ち上げ、帰国者自らの体験を語る場の提供。

 
(今後に向けて)

  中国残留孤児の居住密度が全国一と云われる「飯田下伊那地方」で、「残留孤児集団訴訟」に参加した方はいませんでした。
   
   これは地域を上げて帰国者支援活動(生活実態調査による見舞金支給)を行ってきた結果と見ることもできますが…、しかし平成20年4月から始まった

   新しい支援策「@老齢基礎年金の満額支給・A生活支援金の支給・B地域社会における生活支援」の三つをセットとした施策が実施にうつされました。

  この中で、従来と大きく変わったのが、「B地域社会における生活支援」の対応である。これを行うのは
帰国者の住んでいる市町村が直接「支援プロ部ラム」

  作って行うこととなっていることである。施行から既に9年目となるが、その気になって取り組んでいる市町村はあると見るか、無いと見るか、実態はどうであろう。
  
  多くの自治体(町村)は、県に任せたままと見るのが実態ではないだろうか。

   *例えば、毎年一回、「中国帰国者への理解を深めるつどい」 が県レベルで開催されているが、自治体(町村)担当者の姿はごく少ない。この一点を見ても

   B番目の「地域社会における生活支援
のプログラムを持っているところは無いのではないか。と思われるのである。
 
   
  今年(平成26年)10月1日から「残留孤児訴訟の弁護団・原告団」が中心になって取り組んできた特定配偶者への支援が始っています。
  
  今も続いている「残孤児訴訟」和解からの延長線上で関係者らは、粘り強い支援行動を続けています。訴訟に一人も加わらなかった田下伊那における帰国者 
  支援が、こうした動きから取り残されているのではないかと危惧しているのは、支援活動をボランティアで行っている、われわれ田日中だけなんだろうか。

   帰国者が「同伴家族」、「呼び寄せも家族」を含めて日本で人間らしく生きるために、地域のなかで、小さなことであっても、その実態を掴み、分析し、話しをよく

  聞いて、ひとつ一つを行動に移していかなければなりません。

               中国帰国者の支援活動の実践は地域を上げておこなっていくことが大変重要です。

               帰国者を孤立させない、きめ細かな支援を広げなくてはなりません。

                         私たちも団結して頑張りましょう。