断髪令以後
断髪令とは、明治維新の中で近代化の妨げとなる武家制度を解体するために出されたもので、要するに丁髷を切れというものです。廃刀令と並んで当事の武士にとって衝撃的な出来事でした。また、飯田の地においてはそれまでは生活必需品であった元結が突如無用の長物となってしまう出来事であっただけに多いに困惑したと伝えられております。
元結が衰退する一方で、地位の上がった庶民が増えていった断髪令以後の時代の流れは、水引の需要を増大させていったので、水引産業は元結にとって変わる形で発展を遂げる事となりました。
幾つかの紆余曲折を経て、飯田は日本最大の産地としての地位を築き上げ、生産のみならずその加工においても日本の中心となりましたが、其処に至るまでずっと主力であった「結納飾り・金封」が時代の風潮の変化もあって需要が頭打ちとなり、独占市場の強みにあぐらをかけなくなってしまったところであります。
近年は水引を「観光資源」としての価値に重きを置いてきております。山間の一地方都市が全日本の需要を支えていることは、非常に価値があり、地方文化としての存在意義は、これから先さらに評価されるべきかと思われますが、課題のほうが多いのも真実であります。
私どもの世代は、観光施設での販売のための水引工芸が主力となってからの世代でありますが、受け継いできた技と精神は今も昔も変わらないと思っております。新しい時代の美術工芸を真剣に考え、受け継がれてきたものの一番大切な部分で勝負することでこの価値ある地方文化を伝えて行きたいと考えております。サイト開設の動機もその一環としてのことであります。
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