かつては紙漉が行われたほど豊富な軟水に恵まれている飯田地方ですが、「猿庫の泉」はその象徴とも言うべき名水です。名水百選にも選ばれているこの泉の水は、そのお茶との相生のよさが格別との理由で選ばれたそうです。
その歴史は古く江戸時代茶道の大家、不蔵庵竜渓宗匠なる人物が天竜川の水にお茶と非常に相生の良い水が混ざっていることから、その水を求めてはるばる三河の国から天竜川を遡り、その支流松川をつきとめ、さらに松川に流れ込む小川を遡って発見したと言う、信じられない謂れが残されており、この逸話は昭和二十三年選定の国語の教科書にも載ったそうです。
発見以来飯田潘藩主堀公のお茶にも用いられるなどされたこともあって、大切な泉として名水百選に選ばれる前から地道に守られ、名水百選選定後は自然の美しさを損なわない配慮をしつつ、より多くの人に楽しめるための整備がなされております。私のような地元の人間も季節の変わり目などに水を汲みに出かけますが県外のナンバープレートの車が駐車場に止まっていることも多く、水にうるさい人にはよく知られた場所であるようです。時間さえあればぜひ訪れて欲しい場所と言えます。但し冬訪れる事はお勧めできません。かなりきつい山道が雪と氷で危険度を倍増させているからです。
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水処飯田
背景は、水源地帯での川の水面の写真です。