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NO.1 「IRON誕生す」


 「まだどうなるかわからないけれどできているみたい。今○ヶ月。」

 女房の一言で全ては始まった。
 
 ・・・逆算してみてその頃?・・・「記憶が曖昧なんですが。」

 「何云ってんの!この子が育ってから今の言葉もう一度言ってみなさいよ!」



(時は過ぎ・・・)

「どう?これでもあなたの種じゃないって!」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いえ・・・

    ・・・どう見てもこの顔・・・・この馬鹿力・・・・・・・・・

                           ・・・ワシの子です。」

ペンギン小僧タッタカタッタッタ
NO.2 「IRON赤ん坊時代1」

 IRONはスクスクと育ち・・・・・

   いやフクフクと育ち・・・・・・

   ちがうなあ・・・

     ブクブクと育ち、(これだわ)

 ハイハイをするようになった頃のとある夜中。

 ガサガサ・・・・・・ガサガサ・・・・・ガサガサ・・・・・

 アイアン母「なに?!!!」

 アイアン父「ウ〜ン?・・・何だア?」

 アイアン母「なんか床の間で動いている!・・・・あっIRONが布団にいない!」

真っ暗闇で床の間に這っていって、オモチャで遊んでいる赤ん坊っていったい??



   
NO.3 ちょっとリアルタイム編「美女と野獣」
 赤ん坊の頃はそれなりに可愛かった??IRON。

 しかし成長とともにそのDNAはお仕事を始める。

 ヤツの体は縦方向の成長にはあまり興味が無く、横方向に興味があったようだ。本当に横幅に。

 おまえはゴリラか?! 
 
それなのに何であんなに可愛い娘が?
NO.4 「IRON赤ん坊時代2」

 這えば立て、立てば歩めの親心。

 でもIRONは、とても早く這い始めたのに、立つ様子がない。

 座ったままで足で船を漕ぐように方向チェーンジを繰り返している。

 もう立っても良い頃になっても、膝は床に着かないものの這っている。
 変な格好!

 これが、腕の筋肉と肺の強さにつながったんだということは、ず〜っとあとに気付いた。



NO.5 「保育園児IRON」

 ここに一本のビデオテープがある。

 タイトル「○○保育園入園式」

 撮影者はESCORT父。でもそのビデオの主役はESCORTくんではなくIRONである。

 アイアン母曰く「思い出したくない」一部始終。

 園長先生のあいさつの最中、ステージでひとり「どすんどすん」とさけびながら、跳ねるのか踊るのか・・・。

 席に着かせようと引っ張る保母さん力負け。前代未聞との伝説を築いた。



NO.6 ちょっとリアルタイム編「自己紹介」

 アイアン母「息子のIRONです。」

 お客さん「エエーッ!!!ウソオ

 アイアン母「だんなのアイアン父です。」

 お客さん「ああ〜ソウイウコト

 アイアン父(ドウイウコトナンダヨオイ!!)




NO.7 「IRON小学校低学年1」

 その日の学級懇談会に出席している親父は珍しく、私ひとりだけだった。

 ある母親が自分の娘のことで相談を投げかける。

 「うちの娘は体力がなくて学校に行くと、とてもくたびれるようなんです。」

 担任の女先生がチラッと私を見てすぐ視線をはずした。・・・何かが降臨した・・ようだ。

 「学校から帰ってくるとぐったりして昼寝というか、夕方寝をしてしまうんです。」

 何、真剣に相談してんだよう!

 「くたびれすぎて口もきけなくなって、ご飯もなかなか食べられないようなんです。」

 俺とその母ちゃんを交互にチラミしながら、下を見てえづいている担任。

 「どうしたらいいんでしょう。どなたか体力のつくような良い方法を教えていただければ・・・・」

 壺を直撃された担任がついに開口。

 「それじゃ(グフグフッ)、IRONくんの・・・お父さん・・・秘訣を!!(クックックッ)



NO.8 「IRON小学校低学年2」

 学校に届いた一通の案内状。
 
 近隣市町村の小学生を参集範囲とした相撲大会の案内。
 
 4年生から6年生の男子の部の優勝者が、東京の国技館で開かれる「わんぱく相撲全国大会」への出場切符を手に入れることが出来ると言われる「わんぱく相撲地区大会」の案内である。参考HP

 ほかの相撲大会には出たことがあったIRONは、「僕でる〜。」

 大会と言っても、ほんとに近所でやった小さな大会。

 出場選手も同級生ばかりで、しかも10人にも満たない大会。

 「近所の大会で勝ったことがあったって、今度のわんぱく相撲大会はあちこちの学校から強い子ばかりが大勢集まってくるんだぞ。」

 「でもでる〜。」

 「まあ、いいだろう。自分が井の中の蛙だということをよく味わってくればいいわ!」
 

 軽い気持ちで出させた「わんぱく相撲地区大会」が、私にとってとんでもない悩みをもたらすことになろうとは、その時点では知るよしもなかったのであった。



NO.9 「IRON小学校低学年3」

 たしかに相撲大会の通知が届いたのは学校である。しかし、IRONが通っていた小学校では、おそらくヤツが初めての参加申し込みではなかったか!というくらい相撲なんかには興味のない学校。
 当然、大会の様子を知る者は学校にはいない。参加申し込みがあるなんて予定もしていないので、当然引率なんてなし。

 大会がどんな感じかわからないが、申し込んだ以上、とにかく出掛けてみるしかないなということで、大会会場である公園へ親子3人車で出掛けたのであった。


 大会は日曜日でもあったので、子供(選手)をつれた夫婦、クラス単位で出場し、団体戦にもエントリーしているらしき一団、その引率の先生、孫の勇姿を一目見ようと駆けつけたじいちゃん、ばあちゃん・・・・カメラにビデオ・・・おやつに弁当・・・犬に猫・・etc。

 「大会と言うよりお祭りだな。」という私の第一感想は、やがてみごとに裏切られることとなる。

 近所の大会もそれなりににぎやかではあったが、選手の数がまるでちがう。選手だけでも200人いや300人か?

 アイアン父「お〜これはにぎやかだあ。受付はどこだ?あっあそこだ。」
 折りたたみ机が二つ。その横に長い列。

 やつもその列に並びやがて順番。
 受付のおっちゃんに「おっ!ボク強そうだな〜〜!」といってもらいまんざらでもない様子のIRON。腕にマジックで数字を書いてもらい、いざ戦いへ・・・・とそのまえに開会式。

 前年度大会の横綱たちから優勝杯の返還である。小学校3年の部から6年の部まであり、3年生のみ男女一緒で、あとは男子の部、女子の部の計7人の横綱がいる。さすがに立派な選手揃いだ。


 IRONは3年男女の部。背の高さ順に並んだ列で大きな選手の陰でどこにいるんだ〜?と見ると、式というものが苦手な実績を持つキャツは、「なにやってんの〜、早く相撲とろうよ〜」てな顔をしてはいたが、さすがに小学生になったので列には留まっていた。(ホッ)





NO.10 「IRON小学校低学年4」

 大会の開かれている公園には常設の土俵は1カ所のみ。したがって準々決勝まではこの土俵は使われない。

 公園の運動場の平場に、いわゆる土俵となる俵(人工的なゴム製のものもある。)が埋め込まれ、何カ所かで臨時の土俵ができあがっている。

 「せめてあの常設の土俵までは勝ち残ってくれないかなあ。」どこの親でも目標とするらしいそんな期待すら持たず、開会式を眺めているアイアン父母。

 ルール説明、選手宣誓、参加選手全員の準備体操と続くころには3年生はやや飽き気味。
 
 そしていよいよ競技開始。すると・・・・・会場のムードが・・・一変した!!

 会場のあちこちで急に沸き上がる歓声と拍手、笑い声。

 会場の雰囲気かIRONの出番が近づくにつれ、こちらもつられて何となく興奮してきた。

 IRONは2回戦から登場。対戦相手はRICHくん。初戦、小さな相手を一蹴したいかにも強そうな選手。むろんIRONよりも大きく太い。

 「やっぱり相撲大会にはこういう選手がたくさん出てくるんだよ。IRONも井の中の蛙を思い知るだろうよ!」

 そしていよいよ名前を呼ばれた。

 「東、IRONくん!」「はい!」

 「西、RICHくん」「はい!」



 
NO.11 「IRON小学校低学年−5」
 
 土俵の端に立つとお互いに一礼。

 土俵中央に寄り蹲踞。

 「構えて」の声で腰を上げるのが本当のルールだが、低学年の対戦は蹲踞もそこそこにいきなり構えから。

 RICHくんの構えを警戒するような姿勢から相手をにらんだIRON。仕切り線の前に両手をつく。

 行司役のどこぞの学校の先生の「見合って見合って〜はっけよ〜い〜のこった〜」というかけ声に合わせ、さあたちあがった。

 突進するIRON。だが相手の方がでかい。
 近所の大会では、ちっこい同級生相手に簡単に押し込んでいったIRONも勝手が違う。
 
 押しても簡単に動くどころか押し返されそうな相手とわかったIRONは突っ張り始めた。

 RICHくんもこれには応戦して突っ張り返す。

 どっしり構えるRICHくんに対し、やや動きの激しいIRON。

 観客からは「オオこれはいいゾ。いい いい。」のかけ声。

 IRONの突っ張りに動じないRICHくんがいよいよ反撃に転じようと体勢を下げて前に出ようとした瞬間であった・・・・・・・・・・








 IRONの 右からの 突き落とし!!!!!炸裂!!!

 大きな体のRICHくんがコロリンと土俵に転がった。

 RICHくん応援団・・・・・・・・・・・・・「どうして負けちゃうの〜???!!!」

 IRON応援隊(2名)・・・・・・・・・・「・・・ねえ??」



 「東、○○小学校、IRONくんの勝ち!」
勝ち名乗りにあわせ一礼して土俵を離れるIRON。

 
 勝っちゃったよ。


 この大会初戦は、その後の4年間、幾多の名勝負を繰り広げることとなる宿命のライバル、RICHくんとの初対戦であったことに、もちろんまだ私は気がついてはいなかった。

                           コンティニュー → 3回戦



NO.12 「IRON小学校低学年−6」
3回戦

 強敵?・・・もちろん強敵のRICHくんを下したIRON。

 こんな大きな大会で1勝をあげることが出来て大喜び。(本人より親が?)

 勝ち名乗りを受けた後は、土俵に背を向けて変なタコ踊りを披露しながら土俵を離れる。

 RICHくんは特に大きな選手だったが、IRONもけして小さい方ではない。それが証拠に近所の相撲大会の時は、IRONが同級生の中ではぶっちぎりに背も体重も一番であった。

 つまりは体の大きさがものをいうであろう3年生男女の部では、まだ2回戦だというのに結構大きな体の選手同士が対戦を済ませてしまったということになる。

 「ちょっともったいなくないか?対戦組み合わせは誰が決めるんだよ!!」とも思ったが「体が大きければ相撲が強いことになるのか?」について論戦を挑まれて勝つ自信もないため、とりあえずは勝ったんだから吉とするかで終焉。

 それにしてもIRONとRICHくんの対戦内容は、他にもたくさん取り組みをやっているのを見ていたが、明らかに傑出した内容だったと親の欲目には見えたのである。

 そう、この親の欲目こそが「私にとってとんでもない悩み」をその後もたらすことになる予兆であったのだ。



 他の選手の対戦を観戦していると・・・・RICHくんも大きいと思ったけれど、上には上がいる。

アイアン父→アイアン母:
「なあ、見てみろ。あんな大きいヤツが3年生だっつーわ!なんか相手を軽くひねってるで!」


アイアン母→アイアン父
「・・・あれが・・・・IRONの次の対戦相手よ!」
 

アイアン父
「???・・・・・・・・・・・・・・・・!!・・・。」

 とりあえずKONISIKIくんとしておきましょう。

                              コンティニュー → 3回戦(2)


NO.13 「IRON小学校低学年−7」
3回戦(2)

 ひきつるアイアン父。

 IRONはというと次の対戦相手のことも知らずに、あっちふらふらこっちふらふら。

 試合の勝ち負け以前に、招集時にいなけりゃ棄権とみなされ失格負けじゃ。

 「どうせ負けて帰るなら、強いヤツと戦うという経験を得る方が人生のよい糧となる。」byアイアン父(迷言集1)

 ということで「こら〜IRON、ちゃんと試合を見ていろ〜!」

 何熱くなってんだよわし?

 しかし心の準備を与えてくれるほど大会運営進行は待ってくれない。

 初戦勝利の余韻を楽しむ間も与えず、KONISIKI戦はやってきた。

 
 「東、○○小学校、IRONくん」「はい!」

 「西、○○小学校、KONISIKIくん」「はい!」

 
 土俵に入ってきたKONISIKIくんを見た観客から「ウオ〜」の歓声。

 「向き合って!礼!」

 土俵中央に寄る二人。

 蹲踞で向き合う間に、IRONが・・・・・

 首をかしげた!(こいつはやばい・・・でかすぎるぞ・・・)・・きっとそう思ったのだろう。

 
                              コンティニュー → 3回戦(3)


NO.14 「IRON小学校低学年−8」
3回戦(3)

 首をかしげたIRONに合わせるように、KONISIKIくんも首をかしげた!

(ありゃ〜なんだあ?KONISHIKIくんも自信ないのか?)

 
 「かまえて〜。」行司の先生の言葉にいち早く手を付き構えるIRON。

 対するKONISHIKIくん、お腹が邪魔なのか手を付くのがなんかつらそう。

 いつになく低く身構えるIRON。

 「はっけよ〜い〜のこった〜」

 行司先生のかけ声で動いたのはIRONだけであった。


 ふたまわり小さいIRONの体当たり。

 KONISIKIくん、前に出てこなかったかわりに後ろにも下がらない、というかあまり動かない。

 IRONはちょこまか動くもKONISIKIくんが下がらない。

 仕方ないのでIRONが下がりながら、またも右手でKONISIKIくんのほほのあたりを左側に払いとばした。




 
ドテッ!!


 (決まり手は、はり倒し???)

 IRONよ〜大相撲ならいざ知らず、わんぱく相撲じゃ今の反則ぎりぎりだぞ〜。

 まっ、勝ったからいいけどね! 

 「ただいまの勝負、東IRONくんの勝ち〜」

 勝ってから気づく「だから〜何で、でかい者同士こんなに早く当たらせるんだよ〜、小さい子供(選手)の親の陰謀じゃないのか〜?」

 考えすぎだよアイアン父さん!!

                              コンティニュー → 準々決勝戦(1)


NO.15 「IRON小学校低学年−9」
準々決勝

 いよいよ準々決勝である。

 多くの父兄が、今年こそは我が子に、「あそこで相撲をとらせたい」と願うという常設土俵での対戦である。

 平場の臨時土俵の対戦では、まわしの代わりに柔道の白帯を腰に巻いていたが、準々決勝からは短パンの上からではあるが、まわしを付けての対戦となるのだ。

 このころになるとギャラリーの数もグッと減ってきて寂しいかと思いきや、上の学年での取り組みでは、さすがに常連さん達が残ってきているらしく、出場者の実力や勢力図がわかってきているためか応援も堂に入ったものである。

 団体戦もあるので、こちらの応援も個人戦以上の盛り上がりである。

 なんだか様子のわからないままのIRON応援隊(2名)の使命は、とにかく招集にIRONのアホが遅れないよう注意することで、まあ応援は二の次。

 何とか招集には問題なく行ったようでほっとするのもつかの間、いよいよ準々決勝が始まった。

 IRONの今度の相手はBRAVEくん。

 初戦も2戦目も自分より大きな相手だったが、BRAVEくん、えらく細く背も低い。

 「よく勝ってきたね〜」などと侮ってはいけない。

 相撲は体の大きさだけで勝敗がつくものではない。

 油断は禁物なのだ。・・・でも・・・・・・・・・。



 「東○○小学校IRONくん」「はい!」

 「西○○小学校BRAVEくん」「・・・・・・。」

 うん?BRAVEくんどうしたんだ?

 (勝ったな!呼び出しに返事もできないヤツに負けるわけがない。)


                              コンティニュー → 準々決勝戦(2)


NO.16 「IRON小学校低学年−10」
準々決勝(2)

 IRONの今度の相手のBRAVEくん。

 応援団はBRAVE母。

 偉く甲高い声のお母ちゃんだ。

 「はっけよーいのこった〜」

 BRAVEがんばれBRAVE!・・・ほらBRAVE!

 がんばれBRAVE!あ〜ほらほらがんばれがんばれ!

 あ〜ほらほらがんばれがんばれ!

 BRAVE母ちゃん大まじめ、甲高い声で応援!

 対するIRON、どっしり構えてゆっくりゆっくりBRAVEくんを押してゆく。

 押されて横を向いたBRAVEくんを、IRONよいしょと持ち上げ土俵の外へホイ。

 BRAVE母ちゃん最後は悲鳴!あ〜ああ〜あ〜あ。

 アイアン父「ほ〜らみろ。わしの邪推は邪推じゃないんじゃないか?」

 
とにもかくにも「東IRONくんの勝ち」


                              コンティニュー → 準決勝戦(1)


NO.17 「IRON小学校低学年−11」
準決勝戦(1)

 アイアン父の邪推はいよいよ本当ではないのか?

 準決勝の相手のPURPLEくん、BRAVEくんよりまだ小さいぞ!

 でもね!BRAVEくんはどう見ても色白の虚弱体質みたいに見えたけど、PURPLEくんはなかなかどうして色も黒くて筋肉質。
 目もギョロッと大きくてかわいらしい顔しているじゃないか。

 (IRONとちがって女の子にももてそうである。)

 応援団も学校の友達だね。
 大勢いるよ。
 わんさかいるよ、うん。
 きっとクラスの人気者だ〜ね!

 PURPLEくんがんばれ〜PURPLEくんがんばれ〜
 PURPLEくんがんばれ〜PURPLEくんがんばれ〜
 PURPLEくんがんばれ〜PURPLEくんがんばれ〜

 わかったわかった。

 完全ヒールのIRON、安心しろおまえの応援団だって2名もいるぞ!



 「東○○小学校IRONくん」「はい!」

 「西○○小学校PURPLEくん」「・・・・・・。」


 ふっ・・・こいつもか・・・・こんなヤツに負けるわけにはいかんぞIRON
 しかもこいつ、女の子にももてそうだぞ〜!

 IRONの闘志に火がついたかどうかは定かではない・・・。


                              コンティニュー → 準決勝戦(2)


NO.18 「IRON小学校低学年−12」
準決勝戦(2)

 お互いに中央に寄って蹲踞。

 IRONは相手が小さいとわかるととたんにふてぶてしい態度である。

 ある意味威嚇的である。

 ある意味格闘技には必要な行為でもある。

 油断は禁物だが自信は大切である。

 「はい立って!構えて!お互いに手をついて!はっけよ〜い、のこった〜。」

 お互いに勢いよくぶつかる。

 が、しかし、多勢に無勢、でぶに痩せ、ゴリラに人間。

 IRONはPURPLEくんを一気に土俵際に持っていき、そのまま、土俵の外に押し出した。


 「惜っし〜!」
 
 PURPLEくんの応援団の一人が発した言葉にIRONとアイアン父が同時に反応した。


 どこがおしいんじゃボ○!!!!!むかっ(心の叫びですじゃ)
 (汚い言葉でごめんなさい。)               
              

                             コンティニュー → 決勝戦(1)


NO.19 「IRON小学校低学年−13」
決勝戦(1)

親としては、井の中の蛙を思い知らせるためにやってきた、わんぱく相撲地区大会。

それなのに今IRONがいるのは決勝の土俵。

相手のBEARくんもまた小柄な選手。

IRONは準々決勝、準決勝と楽勝ムードの対戦だったことから余裕の表情。

ぶらんぶらんと真剣みがないアホな小僧。


ところがですよ!・・・・


世の中ってえのはですよ!・・・


そんなに甘いわけがない。

なぜBEARくんが決勝まで残っているのか?

ちゃ〜〜んと、それなりの理由があったのですよ。



そしてIRONは、決勝の相手に、その理由を初めて思い知らされることとなる。



BEARくんもまた応援団の熱い声援を受けている。

BEARくんがんばれ〜BEARくんがんばれ〜
BEARくんがんばれ〜BEARくんがんばれ〜
BEARくんがんばれ〜BEARくんがんばれ〜


すごい応援だ、IRONにも半分分けてくれ〜

ヤツの体重を半分やるからさ・・・・

                         コンティニュー → 決勝戦(2)


NO.20 「IRON小学校低学年−14」
決勝戦(2)

「東○○小学校BEARくん」「はい。」

「西○○小学校IRONくん」
「はい。」


「お互いに、礼」


BEARくんとIRON、同時に土俵の中央で蹲踞。

BEARくん、準々決勝と準決勝の対戦相手の2名に比べ非常に動作が速く、メリハリがある。

蹲踞も実にきれい。微動だにしない。

後でわかったことであるが、BEARくん、剣道を習っていた。



「はい立って〜、お互いに見合って。はっけよ〜い   のこった!」

IRONの立ち会いの突進にBEARくん、いきなり左からの首投げ〜〜

一瞬ひるむが、なおも前へ出るIRONに今度は右からの首投げ〜〜

小さな?小さな選手に左に右に振り回されるIRON。

体勢を崩しながらそれでも前へでる〜〜〜・・・がっ



                         コンティニュー → 決勝戦(3)


NO.21 「IRON小学校低学年−15」
決勝戦(3)

比較的大柄なIRONが、小柄なBEARくんに振り回されながらも前へ出て行ったが、

二人とも・・・体勢を崩して倒れ込んだ!!!





・・・・・・・・・・・????

どっちが勝ったんだ??




すると、BEARくんの応援団の一人が・・・・






「負けちまった〜くっそ〜」

(そうなのか?)

・・・・




「負けちまった〜くっそ〜」

(ということは勝ったのか?)

・・・・




「負けちまった〜くっそ〜」

(ということは優勝なのか?!)

・・・・



「負けちまった〜くっそ〜」

(優勝なのか!!!)

・・・・・



「ただいまの勝負、西IRONくんの勝ち!!!」



                     コンティニュー → 閉会式;悪魔の一言



NO.22 「IRON小学校低学年−16」
閉会式;悪魔の一言

「いままで相撲とった相手の中で一番強かったでごわす!」
(優勝したIRON関に、BEAR戦の感想をお聞きしました。それでは放送席どうぞ)
(向こう正面はアイアン父アナウンサーでした。)ってか!



親にとって・・・・

想像を絶する災いをもたらしてくれるIRON・・・

でも、今回のように至福の時も、もたらしてくれるIRON・・・


どちらも・・・余所の親では一生かかっても、絶対に味わわせてもらえないほど・・・

喜びの山は高く・・・・・悲しみの谷は深い・・・・・・

君の優勝を目の当たりにして

実感していますよ・・・・父&母。





「おまえはやることが極端なんじゃ!!」



 さて、参加資格の発生する3年生での初出場初優勝で幕を閉じたわんぱく相撲地区大会・・・

 閉会式ではでっかい優勝カップと来年の大会で優勝カップを返還しても手元に記念品が残るようにと優勝の盾ももらったIRON。

 いつになく立派に見える我が息子にちょっとばかしウルウル(ウソコケ〜)

 そして、大会スタッフの青年会議所の皆さんからも祝福の一言!


 祝福の一言!・・・・・?


 祝福?・・・・・の・・・・・一言?


 祝?福?・・・の・・・一言


 祝?福?・・・の・・・一言




 悪魔の一言


 悪魔の一言


 悪魔の一言



 悪魔の一言!!!

 


 「来年は4年生になるから、また優勝して今度は国技館に行けるね!!」

 


 そう、軽い気持ちで出させた「わんぱく相撲地区大会」が、私にもたらしたとんでもない悩み・・・・・このスタッフさんの言葉の重みがまさにそれであったのです。



                コンティニュー → 地区大会連覇目指し秋の陣!?



NO.23 「IRON小学校低学年−17」
地区大会連覇目指し秋の陣・・・その前に

IRONの出場した相撲大会。

近所の大会は、優勝とかそういうものはなく一対一で対戦して終わりというような感じのもの。

言ってみれば秋祭りの余興。


毎年春に開かれる「わんぱく相撲地区大会」は、お祭りと相撲競技の中間みたいな物。

現に1回戦、2回戦くらいまでは、「これが相撲の選手?」という子供達が多いものね。

でも準々決勝あたりからは3、4年生はともかく5年生、特に6年生ともなってくるとさすがにそれなりのスポーツ体験者が残ってくる。


IRONもその例外ではない。


そのスポーツ・・・実は、ヤツの筋肉を培った大層を担うもの。


競技と言うよりは、体を鍛えるために4〜5才の頃からそのスポーツのクラブに通っていた。

あの体は、その選手なら多かれ少なかれあんな体型になってくるという種目を専門にやっていたからなのだが、それは小学校低学年時代よりずっと後のお話。


そのスポーツに、この大会1回きりだろうとイベント的に加わってきた相撲。

1回きりの出場のはずが優勝しちゃった・・・・当然来年は優勝カップを返しに来なくちゃならんよなあ。

そのためだけにわざわざ大会にでかけるっていうのもなんだから当然選手で出場するよなあ。

そりゃそうだ・・・・当然だ・・・・・でも・・・・そんな来年のことより前に!!!

祝福の一言を頂いたスタッフさんが、こうも言っていたよなあ。「秋の大会も優勝するようがんばってね」と。



「秋の大会???」(※近所の秋祭りの余興じゃないよ〜〜〜)




          コンティニュー → 今度こそ「地区大会連覇目指し秋の陣!?」


NO.24 「IRON小学校低学年−18」
地区大会連覇目指し秋の陣


 IRONとアイアン父の住んでいるこの地には、近隣市町村の小学生を参集範囲とした相撲大会として、春に開催されるわんぱく相撲地区大会と秋に開催される地区選抜相撲大会の二つがあることがわかった。

 大会規模は同じはずだが、春の大会は4、5、6年生男子の部の優勝者が全国大会に出場資格を得られること、他のスポーツがまだ大会を開催する時期にないこと等から参加者や応援団が多く、とてもにぎやかなのに比べ、秋の大会は本当に相撲の好きな選手が集まって来るという感じである。

 春の大会を制したIRONも、この秋の大会の存在を知るところとなり、こりもせず、この大会にも参加を申し込んだのである。

 春の大会もそうなのであるが、疑問に思うのは、誰がどういった基準で対戦表を作っているんだろうということである。

対戦表はあらかじめ出来ており印刷物になっている。

秋の大会会場に駆けつけ、その対戦表を見ると・・・・・・・・・なんと・・・!


              コンティニュー → 「地区選抜相撲大会1回戦」


NO.25 「IRON小学校低学年−19」
地区選抜相撲大会1回戦

 3年生の対戦トーナメント表の1回戦に記されている対戦相手はなんと・・・!

 BEARくん!!

 ・・・・・・・・・・なんでだ〜?
 ・・・・・・・・・・春の大会の決勝戦カードじゃんか!

 

 誰がきめるんだよこの対戦?!!・・・・・・

 しかし、大会は粛々と進められる。春の決勝カードもほどなく始まった。

(IRONが初めてあれだけ苦戦した相手だ。・・・大丈夫なのか?)

※ここらへんの心理状態も私の中ですでに、守りの方に傾いていたのか?

「東○○小学校IRONくん」「はい。」

「西○○小学校BEARくん」
「はい。」

土俵の端で礼をして、中央に寄る二人・・・  ここで私は気がついた!






IRONは春以降、体が結構大きくなってきている。

対してBEARくん、あまり大きさが変わっていない。




              コンティニュー → 「地区選抜相撲大会1回戦(2)」



NO.26 「IRON小学校低学年−20」
地区選抜相撲大会1回戦(2)

 「はい立って。・・・・手をついて・・・・・見合って〜〜はっけよーい〜のこった〜!」


 春いきなり首投げに来た相手を警戒しながら突っ張るIRON。

 前とちがってIRONは、全くぶれない。


 やがてBEARくんを組とめたIRON、右四つからBEARくんを引きつける。



 そして強引とも思える形で、


 
右脇差しから大きくすくい上げると


 
そのまま腰に乗せて・・・


 一気に空中を舞わせた!

           ・・・・・・・・・ スッパーン!!!


 何いまの????

 我が子ながら・・・・・!!



 春にあれだけ苦戦した相手を・・・・全く相手にせず。




              コンティニュー → 「地区選抜相撲大会2回戦」



NO.27「IRON小学校低学年−21」
地区選抜相撲大会2回戦


 2回戦の相手はSUGARくん。

 IRON同様、学校の仲間の出場はなく単独参加の彼もまた相撲が好きなのだろう。

 実は彼、アイアン父が観察していた選手の中で最も警戒すべきと感じていた相手。

 長身で粘っこい取り口の彼は土俵際がとてもうまいのである。



「東、○○小学校IRONくん」「はい。」

「西、○○小学校SUGARくん」「はい。」
 
 土俵中央に寄る二人。

 蹲踞から・・・

「はい立って・・・・手をついて・・・・・はっけよ〜い   のこった〜」

 激しく突っ張るIRON。

 突っ張る突っ張る。

 こんなに素早いヤツの動きは初めて見た。

 粘るSUGARくん!そして攻めるのはIRONのみ・・・・

 土俵際まで追いつめて突き放した〜〜

 よし!!押し出した!!!・・・・・???・・・・・っと、まだ土俵を割ってないぞSUGARくん

 土俵に、すがる(SUGAR)くん???


              コンティニュー → 「地区選抜相撲大会2回戦(2)」



NO.28「IRON小学校低学年−22」
地区選抜相撲大会2回戦(2)


 土俵際で粘っているSUGARくん。

 自分の押しでSUGARくんが土俵を割ったと思いこんで攻撃をやめたIRONであったが、ヤツもSUGARくんがまだ粘っていることにようやく気づいた。

 そして、あわててSUGARくんの方に向き直して押そうとしたが・・・・・。


 慣性の法則がSUGARくんをゆっくりと蝕んでいたようである。


 粘っていたSUGARくんだが、IRONに押されてついていた勢いが死んでいなかったらしく、IRONが向き直して再度押そうとする手を嫌うように土俵を割って出た。

 IRON・・・スカッ!!


 ただいまの決まり手・・・空振り、空振りでIRONの勝ち!!!???


 さてさて・・・・3回戦の相手は誰だ〜!!

 もう勢いは止まらない!!??



              コンティニュー → 「地区選抜相撲大会3回戦」


NO.29「IRON小学校低学年−23」
地区選抜相撲大会3回戦(回想記)


「3回戦の相手は誰だったっけIRON。」

「パンフレットを見るとSMARTくんという人だったみたい。」

「憶えてないのか?」

「憶えてない。強かったヤツだったら憶えているけど。・・・お父さん見てたんじゃないの?」

「見ていた!!見ていたけれど・・・・・・・・・SMARTくん???・・・う〜ん??」

「ボクその人に勝ったの?」

「勝っただろうねえ。準決勝戦に進んでいるくらいだから、記録によると。」

「へえ、そうなんだ。」

「そうなんだよ。」


(う〜ん・・・・SMARTくん・・・・??)













誰だっけ



              コンティニュー → 「地区選抜相撲大会準決勝戦」



NO.30「IRON小学校低学年−24」
地区選抜相撲大会準決勝戦

IRONの準決勝の相手はRICHくんの同級生のTRUEくん。

運動がいかにも得意そうな筋肉質の色黒の彼。

非常に敏捷な動きをする彼は、RICHくんと学校で実力を2分すると自分で言っているのがまんざら嘘ではない実力の持ち主であった。

そんなこともありIRONとの初対戦は個人的には注目していた。



 「東、○○小学校IRONくん!」「はい!」

 「西、○○小学校TRUEくん」はい!

IRONよ〜・・・・・・声が負けてるぞ〜。



「お互いに見合って〜はっけよ〜い・・・・のこった〜」



立ち会いはIRONが当たり勝つ。TRUEくん回り込もうとするがIRONあっというまに左四つにつかまえた瞬間であった。

TRUEくんを、容赦なく押しつぶすような右からの強烈な上手投げ!!
TRUEくんたまらず土俵外までとんではいつくばった。



これもまた・・・相手に全くなんにもさせず!!


TRUEくん「うっわ〜あ こんのひと〜〜つっええ〜〜!!」


そうなのか?IRONは強くなっているのか?



              コンティニュー → 「地区選抜相撲大会決勝戦」
NO.31「IRON小学校低学年−25」
地区選抜相撲大会決勝戦(1)

IRONの決勝の相手はMOUNTくん。

長身・・・・・細身・・・・・・

なんと言ったらいいんだろう?

・・・・・

・・・・・

IRONの脳天気に比べて・・・・・

ニコリともしない・・・・・子供?・・・・・・



 「東、○○小学校IRONくん!」「はい!」

 「西、○○小学校MOUNTくん」     

                     (・・・ぺこり・・・・)



暗いぞ・・・・・MOUNT・・・・・

得意技も・・・・・・・・・



「お互いに見合って〜はっけよ〜い


    (気をつけろ・・・・・・・・・・IRON)

           ・・・・のこった〜!」


   
・・・・・・・・来たぞ!!・・・・・・・IRON!!

  ・・・・・・あの技だ!!!





              コンティニュー → 「地区選抜相撲大会決勝戦(2)」
NO.32「IRON小学校低学年−26」
地区選抜相撲大会決勝戦(2)


(気をつけろ・・・・・・・・・・IRON)

だから言っておいたのに!!・・・おまえは親の言うことを聞いていないのかあ!





MOUNTの得意技・・・・・足取り

長身の・・・立派な体なのに・・・小さな選手相手に・・・・足を取って転ばすのを見て・・・

「僕は・・・・ああいうことは・・・・絶対やらない」そう言っていたIRON。


自分はやらなくても、相手がやってくるんだ!

「MOUNTに万一足を取られて・・・・痛いからと持ち上げたら・・・・・負けるぞ!」

「足なんか取らさせない!!」そうぬかしていたお前が・・・・・

その短い足に・・・・・・手を掛けられているじゃないか!


              コンティニュー → 「地区選抜相撲大会決勝戦(3)」
NO.33「IRON小学校低学年−27」
地区選抜相撲大会決勝戦(3)


足に手を掛けられてしまった〜〜〜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でも、



IRONの短い太い足を・・・・・持ち上げようと・・・かがんで必死の形相MOUNT。

MOUNTの足取りを・・・・腹を突き出して・・・堪える必死の形相IRON。



ほんの数秒の膠着。




MOUNTに足(膝の筋の部分)を取られた相手は、筋の痛さに絶えきれず足を持ち上げてしまう。

そしてバランスを失い、転ぶか・・土俵の外へやむなく出るかしかない・・・・。


でも・・・・・IRONは・・・・IRONは、・・・痛さに絶えられず・・・・自ら足を・・・・持ち上げることは・・・・・・・







ない!

MOUNT・・・・初の・・・・・足取り・・・・断念!!

その瞬間であった!!


「こら〜〜IRON〜〜〜投げは使うな〜〜〜!」


              コンティニュー → 地区選抜相撲大会決勝 決着
NO.34「IRON小学校低学年−28」
地区選抜相撲大会決勝戦 決着

「こら〜〜IRON〜〜〜投げは使うな〜〜〜!」

・・・とMOUNTの足取りを堪えきったIRONに、声をかけようとしたが・・・遅かった!

そんな長身のヤツに投げを使ったら、逆転の投げをくうぞ〜!



そんな長身のヤツに投げを使ったら、逆転の投げを!!



長身のヤツに投げを使ったら逆転の!!



投げを使ったら!!


!?!?!?!?



決めっちめえやんの!!


必殺の足取りを封じ込められたMOUNTが足取りをあきらめた瞬間のIRONの右上手投げは、アイアン父の注意報を発する瞬間をも凌駕するスピードであった。

地区大会連覇成る。


              コンティニュー → ミドルタイム編
NO.35ちょっとミドルタイム「IRON中学校編」

その中学校で恒例となっている、と噂の理科の授業での出来事。
授業の内容は磁力について・・・・・・・。


「このクラスで1番力の強いヤツは誰だあ?」


教師の質問に、とっさに机の蔭に身を伏せて隠れるIRON。

だがしかし次の瞬間、ヤツ以外の生徒全員が、伏せたIRONの方を一斉に指さした。

「IRONかあ。何を隠れているんだ?早く前に出てきなさい。」

渋々前に出て行くIRON。

「ここにU字型磁石がある。そこに鉄の棒が引っ付いている。これから君たちのクラスで一番力が強いというIRON君にこの磁石と棒を引き離してもらおうと思います。」

教師から鉄の棒の引っ付いたU字型磁石を受け取るIRON。

「磁石と棒を、ひねったりほかのもので叩いたり、足や道具等は使わないで、両手だけで左右に引っ張って離してみて下さい。」

ちょっと左右に引っ張ってみるIRON。(磁石と鉄の棒は全く離れる様子はない。)

「フ〜ン!!」
 
IRONはもう少し力を入れて引っ張っている。

え〜とですね。磁力というものはすごいもので、彼がどんなに力があってもですね、この磁石と鉄の棒を離す事が出来た人は過去に誰もいません・・・・(ブチッ!!)・・・・人間の力では離すことが出来ない強さの磁力を与えて・・・・ある・・・・・からで・・・す???
・・・こら〜!何を騒いでいるんだ〜静かにしないか〜!!」


教師の言葉とは裏腹に、生徒達の爆笑は止まらない!

その原因・・・「IRON劇場」

「フ〜ン!」(ブチッ)(カチッ)「フ〜ン!」(ブチッ)(カチッ)「フ〜ン!」(ブチッ)(カチッ)
(ひっつけては離し、ひっつけては離し・・・)

「ひえ〜IRONは人間じゃねえんだ!」

「ばれたあ?!」

IRONの返答で、さらに授業は崩壊していく・・・・・・。


              コンティニュー → 小学校高学年編へ
NO.36「IRON小学校高学年−1」

IRONは4年生になっていた。
体も・・・一回り大きくなり、同級生にくらべてはもちろん、ちょっと太めの小学生である。

季節は春。
待ちに待ったわんぱく相撲地区大会の開催される春である。

昨年の大会との大きな違いが四つ。

一つ目は・・・・・周囲の視線。
 前年の大会の優勝者であるIRONは、前年の大会に出場した選手やその親、教師には当然知られる存在となっていた。会場にも優勝カップを持参して入るので当然注視される。

二つ目は・・・・・大会の様子を、IRONもわたくしアイアン父も承知しているということ。
加えて、少なくとも昨年の大会に出場していた選手のだいたいの強さもわかっている点。

三つ目は・・・・・通う学校からは昨年たった一人での参加であったが、今年はクラスメイトをそそのかし、その連中の個人戦はもちろん、団体戦にもエントリーしていること。

そして最後の四つ目・・・・・・(こいつが一番問題でもあるのだが・・・・)・・・・

そう・・・・この大会・・・つまり4年生からは、男子優勝者が国技館に行けるのである。
待ちに待った大会とはつまるところ・・・・まさにこれなのである。




           コンティニュー → わんぱく相撲地区大会4年生男子の部1回戦
NO.37「IRON小学校高学年−2」

今年のわんぱく相撲地区大会は雨模様。
そんなこともあろうかと、昨年の大会を行った公園のある山の麓のCIRCLE小学校体育館が雨天会場として確保されている。

偉そうな顔して会場入りしたIRON、開会式は前年度優勝者として一番前に陣取る。
本当は開会式の最中に前年度優勝者が来場者全てが見守る中、優勝カップを大会主催者に手渡し返還するという晴れ舞台があるのだが、会場入りすると同時に主催者席に優勝カップを返しておいたIRONは、その晴れ舞台を逃すというチョンボ。

・・・・・思えばこれがケチのつき始めか?

開会式セレモニーが一通り済んでさあその後は・・・・
昨年同様、会場のテンションが一気にあ・が・る!!

IRONの出場する4年生男子の部個人戦も始まった。


私の昨年来の邪推もいよいよピーク!!!???
たってですよ・・・・IRONの初戦の相手・・・・・




ま〜たまたRICHくん!!!!


(アイアン父さん、邪推ですってば!だってRICHくんは1回戦勝ち上がりの2回戦目ですから〜)



       コンティニュー → わんぱく相撲地区大会4年生男子の部1回戦(2)
NO.38「IRON小学校高学年−3」

「東、○○小学校、IRONくん」「はい!」
「西、○○小学校、RICHくん」「はい!」

「IRON!気合い入れていけ〜!」
アイアン父のかけ声にうなずくIRON

礼をして土俵の中央に寄る二人。
昨年にも増して「何で初戦がこの大きな二人なんだよ〜?」の疑問がムクムク。

「手をついて〜〜のこった!」
の行司のかけ声と同時にRICHくんが・・・・



後方に跳ねた!?


なぜ????


IRONはそんなことに全く動じず、前に出て行く。
当然さがったRICHくん押し込まれ・・・・・・土俵の外に・・・・でもIRONも!

足が出た!!!

RICHくんより足が出たのは遅かったものの、何か浮き足立った相撲内容!







何となく嫌な感じであります。
それは予感であります。
胸騒ぎであります。
勝ったにもかかわらずであります・・・・うれしくない。
不安なだけ。

何でそんな事を感じるようになったのか?
・・・・攻めから守りへ・・・・そんな意識にいつの間にか
IRONではなく父&母が陥っていたのでありましょう。

       コンティニュー → わんぱく相撲地区大会4年生男子の部2回戦
NO.39「IRON小学校高学年−4」

個人戦2回戦の相手はREDFEAくん。
初顔の彼はどんな相撲内容かはわからないが、
「東、○○小学校、IRONくん」「はい!」
「西、○○小学校、REDFEAくん」「はい!」

同時に礼をして土俵の中央に。
REDFEAくんもけして小さい方ではない、上背はIRONとほぼ互角か。


「のこった〜!」
自信満々に前へ出て行くIRON。
でも・・・・でも・・・・何か今日は・・・・・何か・・・・ちがう!

そう・・・腰が・・・







高い


REDFEAくんにあっさりともろ差しを許すと、体勢を入れ替えさせられそうになる。
右上手を何とかとると、力任せの上手投げ。

だがもろ差しを許している体勢での高腰での上手投げは、なかなか決まらない。
それでも今更止めるわけにいかないIRONはさらに力を込めてとうとう、もつれ込むようにREDFEAくんを投げる形で倒れ込んだ。
何とも無様な勝利・・・・・・今日はおかしい?

IRONも私アイアン父に視線を2回とばした。



       コンティニュー → わんぱく相撲地区大会4年生男子団体の部1
NO.40「IRON小学校高学年−5」

大会は、個人戦準々決勝以降を残し、先に団体戦がスタートする。

IRON率いるSOUTH小学校4年生チームは、IRONのほかに小柄なLIGHTくんとBEGINくんの3名。IRONがでかいので余計残り二人の小ささが目立つ。

さっそくIRONを呼び、個人戦の軌道修正を指示。
「バタバタせず、しっかりつかまえて寄っていけ。投げは使うな。」

初戦の相手チームは、DRAGON小学校。個人戦であたったばかりのREDFEAくんが先鋒だ。
IRONも先鋒なので再戦である。

アイアン父「REDFEAくんはどうなんだ?」
IRON「あいつ結構つえ〜。・・・もう一度やって勝てるかどうかわからん。」
アイアン父「ねぼけたことこいてねえで、気合い入れていかんか!!!」
IRON「・・・うん・・・・わかった。」




「東、DRAGON小学校、REDFEAくん」「はい!」
「西、SOUTH小学校、IRONくん」「はい!」

両者土俵の中央に。


「手をついて〜〜    ・・・・のこった〜!」




IRONゆっくり相手を見て、低く立つ。
差し手争いも無く、あっという間にもろ差しに持ち込むと、そのまま前へ出て、あっさり寄り倒した。
IRONも私に今度は「どうだ!!」と言わんばかりの視線をとばした。


(なんだ!?・・・何も問題ないじゃないか・・・今日が何かおかしいぞと思ったのは思い過ごしか!)



そう思ったアイアン父であったが・・・・・


       コンティニュー → わんぱく相撲地区大会4年生男子団体の部2