俗 信  

                        南信濃村史 「遠山」から掲載

   気象に関すること

 

アリが宿替えすると二・三日中に天気が変る

のみを火にくべてはぜてなると天気になる

のみがとび上ると天気が変る

モズが鳴くと天気がよくなる

天井からくずが落ちると雨が降る

魚が跳び上ると雨が降る

夕方ブヨが出ると天気が変る

カギがすべると雨がふる

なべの尻に火の粉がつけば雨が降る

蛇が道に出ると天気が変る

女の腰巻を長く出せば雨が降る

下駄を洗うと雨が降る

こやしひしゃくを上に向けて歩けば雨が降る

キジが鳴くと地震が起る

はちがひくい所に巣を作るとその年風が吹く

夕方子供が騒ぐと雨が降る

馬の耳がなると雨が降る

六つ八つは風、四つは日でり、五つ七つは雨で、九は病(地震の時刻)

鎌のとぎくそがさびつくと天気が変る

虹が川や沢をまたぐと雨が降る

血病み女が頭痛をすれば雨が降る

死人を埋める穴に雨水を入れると長降りをする

猫が耳をなぜながら顔を洗うと雨が降る

ちょんのすずめがなけば雨が降る

みず鳥がなくと雨

水車の音が聞えると雨

 

   食に関するもの

 

餅に塩をつけて食うものではない

おひな様に上げたものを食べると器量が良くなる

恵比寿様のお下りは嫁に食べさせろ

恵比寿様にあげたものは家をつぐものが食べろ

仏様に供えた御飯は家にいる者の外食べるものではない

立って食べると足が太くなる

ねて飯を食うと牛になる

立うすの底についた餅をとって食べると後産がおりない

うすの中のものを食べると縁が遠い

晴の場所へ出るとき味噌汁をかけて飯を食って出るとミソをつけられる

山へ行ったとき使った橋を折っておかないと狐にばかされる

飯を食べこぼすと口がまがる

一杯飯をよそうと継母にあう

箸の上を持って食べる人は遠い所に縁がある

箸の下を持って食べると近いところに縁がある

山へ行った時使った箸を折って投げ、木にかかると家に御馳走がある

茶碗をたたく人は乞食になる

碗を箸でたたくとおしになる

寝るときに餅を食べると小便に起きない

人から物をもらったとき、入れ物を洗って返すと仲違いになる

豆の皮をむいて食うと嫁に行くときはだかで行く

魚の目を食べると魚の目が出る

子供がお茶を飲むと色が黒くなる

子供がお茶を飲むと字を覚えぬ

茶釜の湯をむだにわかすと隣の「しんしょう」がよくなる

朝茶は三里行っても帰って来て飲むものだ

左膳は死人に供える膳

顔を洗わず飯を食うと犬になる

土用の丑の日には「う」の字のつくものか油濃いものを食うものだ

なべそこの飯は男に食べさせるものでない

元旦の朝は柿を食べるものだ、特に種があるとよい

便所におちた飯を拾って食べると長老になる

きな粉をかけてこぼさぬように食べると長老になる

おからをこぼさずに食べると長老になる

生粟を食べるとできものができる

南瓜に年を取らせると家の人に「くさけ」ができる

近所からもらったものを親に見せないで食べると口が曲る

正月の元旦に「ほうずき」を食えば腹を病まない

梅漬の中へ手を入れると色が変る

朝の出がけに汁かけ飯を食べると事が起った時なすりつけられる

鍋ぶたの上でも物をきざむものでない

陰膳を据えると腹が減らない

青菜をゆでるところを男に見せるな

ねずみを食うと寝小便がなおる

釜の飯をうつした後へは水を入れて置くものだ。もし人に入れてもらうとお産の時その人が
来るまで生れない

梅の種をくうと天神様ににくまれる

子供がねずみの食いかけを食べると歯が替らない

歯がぬけたらねずみの歯より先にはえれと言って上歯の場合は縁の下、下歯の場合は屋根へ投げろ

流し場で鼻歌を歌えば三年流し場で奉公することになる

歳徳神へ供えたものは男が食べるものだ

恵比寿様に供えた物を他所へ出る子供に食べさせるな

彼岸のお中日に播いた南瓜を食べると運が良い

仏様に供へた飯を食う子は水難にかからない

海苔に年をとらすな

梅の種は火にくらべるな

空湯を煮ると貧乏になる

竹の皮を火にくべるな

葬式の日に魚を食わないと仏様に口を吸われる

自在かぎをゆすると貧乏になる

旅立の朝こげつき飯を食うと人前で恥をかく

庚申の日に魚を食うと口がまがる

枡の底を叩くものではない

のし板を洗うと貧乏になる

人参を食うと助平になる

御飯が焦げたら水びしゃくを乗せよ、焦げの香が無くなる

釜へお湯を入れてよく洗い落して食べるとお金が溜る

ちまきを見て遠くへ出ると縁起がよい

旅へ出る時にぎりめしを四つ持って出るな

いもずりを食べた後お茶を飲むと中風になる

土用の入りに小豆を食うとよい

八月熟柿は犬も食わぬ

乞食の餅焼

餅の皮をむく人は身上しまいだ

三月味噌をかくな、正月煮て四月かけ

正月塩を買うな

夜味噌を持って外に出るとキツネにつかれる

夜塩を買ったり取り出したりするな

子供にこんにゃくを食べさせると怒りっぽくなる

御釜様の供えた物をさげて食べると縁が近い

餅を落すと悪い事がある

閏年の師走の二八日に餅をつくと火難にあう

正月の柿の種は火にくべるな

どびんの口に茶の菓がつまれば土びんの尻を吹けばとれる

 

   下駄衣類に関するもの

 

しつけ糸を取らずに戸間口に上ると親不孝者

しつけ糸を取らず着ると狐にばかされる

しつけ糸を取らずに着ると死神がつく

新しい着物を着る時は男は左手、女は右手から手を通し南に向って着るものだ

新しい草履をはいて縁側から下りるな

新しい下駄をはいて便所へ行くと緒が切れる

夜草履をおろす時はうらの毛を焼いてはけ

未の日に着物をぬうと焼穴が出る

針を粗末にすると死んでから針の山へ追われる

着物の焼穴は犬のなく度に大きくなる

着ていてほころびを縫うものでない

衿を帯にすると仏様だ

大勢で着物を縫うと仏様だ

縫いかけの着物を人に頼むと出世しない

返し針をしないで縫うものでない

くしを落したら踏んで拾うものだ

袖で顔をふくと泣く事がある

洗濯物を竿からはずす時は通した方からはずすものだ

はたおりは織りかけて病みつくとなおらない

機をへる時はすみをつけるものだ

若い者の着物を夜干にすればやもめになる

やむをえず夜干にする時は裾を返して置くものだ

ねずみが衣塀や帽子をくえば喜び事がある

三歳前に張り替えの着物を着せると強情になる

首筋にほくろがある人は良い着物がさずかる

男の着物は横にあてつぎをするとけがをする

申の日に着物を裁つと人前で赤い顔をする

糸くずを着物に縫い込むと着た人が死ぬ

庚申の日に草履をおろすな、また作るものでない

人の頭道具を拾うと頭痛がする

草履と下駄を片ちんばに履くとみさきが取りつく

くしを拾うと若さが増す

己の日に着物を裁つと身を断つという

衿を折って着るものは仏様だ

草履をおろす時は「馬になれ牛になれ」という

手拭を火であぶると人中で恥をかく

庚申の日は庚申様が南の川で行をするから洗濯をするな

金比羅様の日は川で洗濯するな

 

   住に関するもの

 

火元は七代崇る

朝縄をもやし夜藤をもやすと貧乏になる

釜を西向にするものでない、東か南がよい

うしの日に取った灰は七日すぎても火がでる

ほうせん花とほうずきを家の廻りに植えると病人が声を出して病む

星敷にひまわりを植えると金がまわらず目がまわる

星敷に桐を植えない

寝る時にタライを外に置くと盗人に入られても目が覚める

はしごは奇数に作るものだ。偶数に作ると怪我をする

はしごの三段目から落ちた怪我はなおらない

三隣亡に建てた家は災に合う

金神様の方へ家を建てると七人とり殺される

梁の下に寝ると魔物におさえられる

つばめが巣をかけないときはその家になにかがある

つばめは火事のある家には巣はかけない

ねずみがいなくなれば火事にあう

軒先に赤蜂が巣をかけるとあきすになるので縁起がわるい

屋造の家は落葉松は使わない、身体が空になるという

西向きに神様をまつるものでない

四間に二間の家は建てるものでない、四二間となる

屋敷に山茶花を植えると貧乏になる

ひいらぎを屋敷に植えると魔除になる

しゅろの木が屋根の上に出るとその家はつぶれる

五月は屋根をふかぬ

本家より、新屋を川上に建てると本家がつぶれる

便所へ使った板を焼くと火の神様のはちがあたる

便所へつばをはくと歯が痛む

屋敷内へすももを植えると病人が絶えない

藤を庭敷内に植えると身代が下る

五月蚊帳と九月蚊帳はよくない

五月家移りと蚊帳を出すのはよくない

九月に蚊帳をしまうものでない

ねむの木は火がきかぬ

かやの木をたくと家の神様が嫌う

逆さ杭を打つな

庚申の日またはその翌日はじめて泊り山へ行くと災難にあう

横座まわりの猫馬鹿坊主

他人の家の横座に座われば米一俵買え

花火の筒を門口に掲げて置けば魔除になる

鶏が宵に鳴くと災がある

冬至の四つ前の水に文銭を入れ二階に上げて置くと火難にあわぬ

寒中に油をこぼすと火難にあう

初午の日に灰をすいて川へ捨てると火難をのがれる

来客が帰る時茶釜のふたをとったままおくと福の神が出て行く

人をそしらば座蒲団をしけ

鳥影がさすと人が来る、火が吹くと人がくる

いやな客の追出しはほうきを立てろ

恵比寿様を下り向に祭ると妻がいばる

お釜様へ赤い物を供えると妻がいばる

水杓の柄を替えると夫が代る

川切りの家はよくない

茗荷を食べると忘れぽっくなる

寒中に石を家の中へ入れると火事になる

屋根に赤い石をのせると子が夜泣きをする

 

   身体に関するもの

つむじが二つある人は二つ蔵を建てる

弟が午年の家は兄は家をつがぬ

額のしわが深くて多い人は苦労が多い

眼の下のくすべは泣きくすべ

首の廻りに黒子のある人は一生着物に不自由せぬ

頭を曲げて舌を出して胸につけば泥棒の素質がある

指の腹の筋が皆巻いている人は偉い人になる

指の爪が短く横広い人は器用だ

うつむいて寝る人は弱い

鼻の下の長い人は長命だ

鼻の頭に汗をかく人は気が弱い

目尻の下った者は助平だ

鼻の下が長い者は助平だ

髪の毛にくせのない人は気立が良い

お釈迦様の日にお寺がくれる甘茶で目を洗うと目がよくなる

薬缶を炉のすみにおくと薬が効かぬ

薬缶の口を外に向けて薬を煎じると病気も抜ける

半夏生の日にいも畑へ入ると頭がはげる

人の悪口を言うと口が裂ける

子供のおしめを夜干すると下痢をする

雷の落ちた木で歯をつつけば虫歯がなおる

うるしにかぶれる人はうるしの木と酒ずきをすればよい

鼻へ傷が出来ると甥嫁が子を産む

馬に歯を見せると嫁入りしてから庇をこく

一晩に二度風呂に入るとねずみに小便をかけられる

人につばきをはきかけるとのどに竹の子が生える

 

   夫婦に関するもの

 

三夫婦揃った家は縁起がよい

亥年と申年は良縁にならぬ

申東巳の日ほ婚礼はよくない日だ

嫁は庭から入れるものだ。嫁に行く時は縁側から出るものだ

婚礼に雨が降ると「ふり込む」といって縁起がよい

馬の「おもづな」や「くつご」をまたぐと月経が重い

女がと石をまたぐとと石が割れる

 

   生死に関するもの

 

お産は日の出を喜び日没を嫌う

初産の時夫が立ち合うと産の時いつも夫がいなければ産めない

便所をきれいにすると器量の良い子が産れる

二子栗を食うと双子が生れる

杓子をなめると杓子子を産む

女がカマスや袋の上に座ると尻のない子が産れる

女がかごに腰をかけるとかごの目の数だけ子を産む

炉の中へ汚れた水をこばすと片端者が産れる

お宮の上でカラスが泣くと子が産れる

産れる子が男か女かを知るには両親の年の数を加え、それに一年子は一つ、二年子は二つ足して三で割り切れれば女割り切れねば男

先に生れた子のももにある筋が一つなら次に産れる子は男、二筋なら女

胎児の位置が右腹なら女、左腹なれば男

お産をする前にその子の着物をこしらえておくとその子は育たない

畳四畳の継ぎ目で出来た子は片端になる

親が赤くて太っている女の子は子を沢山産む

子供が沢山ある時は、しめ、とめ、すえ、等の字のつく名をつければ後は出来ない

子供が早死して育たない時は産れた子を捨子にして拾ってもらった事にすればよく育つ

誕生祝の餅は砂糖を使わぬ

弱い子は丈夫な人に抱かれて辻に出て踊って貰えば丈夫になる

笑くぼの出来る子はお月様にかわいがられる

女の子は父親に似ると運がよい

産れて七月目に歯の生える子は七つで歯が代わる

妻の妊娠中、夫は屋根をふくものでない

妻の妊娠中、夫は田の畦を切ると三ツ口の子を産む

妊娠中に兎の肉を食うと三ツ口の子を産む

妊娠中に馬のおもづなをまたぐと十カ月経たないと産れない

妊娠中「ませんぼう」をまたぐと額につむじのある子を産む

妻の妊娠中夫または妊婦は葬礼道具や死人に手をつけると死ぬ

へソの緒を長く切ると小便が遠い

産風邪を引かせると大きくなっても「はな」をたらす

桶を火にくべると乳が出ぬ

水とよにくっついてのむと病気が長い

双生児に男と女が産れると情死の生れ代わりだという

双生児を産んだ人とはたおりをすると双生児を産む

火端をきれいにするときれいな子が生れる

産れた時雨が降ると死ぬ時も雨にあう

同じ家の中で月に二人の産があると勝負がつく

えな(後産)は浅く埋めてその上に木を植えると良い

えなは人のよく踏む所へ埋めると良い

妊娠中死人に手をつけると白子を産む

野送りの草履をはくと赤ぎれが切れる

肉親が死んだ時は針が取らぬ

一家に二回以上葬式を出すとワラタタキ槌を引きづって墓地にうめる

うしの日に葬式をすると友を引く

友引の日に葬式をすると友を引く

家人が死んだら一周忌まで屋根をふかぬ

死人の衣類は足で洗濯するものだ

子供が死んだ時は親の片袖をかぶせてやるものだ

納棺の時は死人の頭に半紙をかぶせる

葬式の列が切れると後が近い

水死人のあった時は「ミサキ送」といって鉄砲をうって村はずれまで送る

死人の着物は一本棒へ掛けて干す

死人の盛土の沢山ある人はまだ生があったという

死人を埋める時上を鍬でたたきつけるものでない

尺取虫に頭の上から足の先まではかられると死ぬ

重病人のある時その関係のある年忌があると危い

死んでも魂は四十九日の間家棟をはなれない

死人の上に鎌をのせる

死人を猫がとび越えると生き返る、箒で叩くとすぐ斃れる

空うまやにません棒をかうものではない

死人が起きてそのません棒をまたぐと生きかえる

葬式の時棺の真向いにいると死人の枕になる

葬式の時、和尚の真正面にいる人はその年中に死ぬ

死人に着せる着物を縫うには糸にこぶを作らず縫う

正月一六日と盆の一六日夜、月の影に頭のない人はその年のうちに死ぬ

四がいの門松をたてるとその年に家人が死ぬ

子の産れた夢を見ると人が死ぬ

畦落ちがすると家人が死ぬ

 

   農事、猟に関するもの

 

苗代へ小便すると雨が降る

苗代へ小便すると田の神様のばちがあたる

苗を束ねたまま植え込むと葬式の時の米になりたいという

苗代の苗を植えるとき縛った縄の輪の中へ植え込むと葬式の米になる

田植の時泥を洗い落さぬと疲れがぬけぬ

里芋は田植歌を聞かないと芽を出さぬ

妾にたたかれたのと鍬で足を切ったのは人にも話されない

南瓜がなっているのを指さすとくさる

蛇を指さす場合は、自分の歯で手をかんでさせ、そうでないと蛇にかまれる

雨の降る日に栗畑へ入るな

稲を刈り始めた時鎌を三度いなだくと手を切らぬ

午年の人が蚕を飼うと豊作だ、戌年の人は凶作だ

苗代田を植え終る時尻の向を変えるな

四十九日目の苗は植えるな

炭がまの口を鬼門に向けると火が消えぬ

主人の歳の日に種を播かぬ

お伊勢詣の日は畑仕事をせぬ

施餓鬼の旗を野菜畑へ立てると害虫がつかぬ

線香立ての灰を野菜にかけると害虫が落ちる

正月縄をなわぬ、庚申の日に縄をなわぬ

梅干を川へ捨てると魚が釣れぬ

弁当に梅干を持って行くと魚が釣れぬ

魚釣に行って蛇を見ると魚が釣れぬ

猟師が熊を撃つと出世の峠だ

猟師がたかをうつと出世がとまる

山師が道でオコジョを見ると不吉の印

オコジョが道を横切ると怪我をする

 

   禁忌に閲するもの

 

漆にかぶれた時実の皮を煎じてぬると良い、沢がにをつぶしてその汁をつけてもよい

夜泣きをして困る時は夜松の根を削って来てもやして赤ん坊に火を見せるとなおる

正月二日にトロロ飯を食うと風邪をひかぬ

川原飯を食べると夏病をひかぬ

ワラ一本を床の間に供えておきその頭をそっと三つに切りふところに入れておくとしびれがきれぬ

しびれがきれたらワラを摘み切って額にはりつけ「シビレ、シビレ天に昇れ」と唱える

蜂や毛虫にさされた時痛いといえばいう程はれる

野ぐその上で火を焚けばそのひった人の尻がまがる

五月節句のチマキのゆで汁を家の廻りにまくと魔除になる

枕草紙を財布に入れておくと魔除になる

初雷のなった時箒で掃き落す真似をするといぼが取れる

門口にヒルをつるしておくと疫病神が入らない

から耳が痛い時は道祖神へ願をかけ、なおったら月の数だけ木で錐の形をこしらえてあげる

はれものができた時山繭の皮を飯粒で練って貼ってもよい

のどに骨がささった時は馬のません棒でこするととれる

蛇が石垣の穴の中へはいった時、線香でいぶせば出てくる

神仏に供えたおはなをいぶすと蛇が家の中へ入らぬ

草を七つにちぎって貼ると血が止まる

山で切り傷をした時、あり合せの草を三種とってそれをもみ汁をつけると血が止まる

くさけの出来た上に馬という字を三つ書くとなおる

節句の柏餅を蒸した水で洗うとクサケが出来ぬ

咳が出る時は雄鶏を紙に書いて釜の神様に逆さに張って上げ「咳が止まればじきに雌鶏を描いてあげます」と願をかけるとよい

物を置き忘れた時つばきを手の平にのせ、片方の人差指でたたいてつばきがとんだ方を探せばその方にある

山で物を失った時は陰部を半部出し探してくれれば全部見せると言って山の神に願をかければ物が出る

狐にだまされた時は狐の窓をこしらえて三度吹けばよい

もぐらを追うにはモグラの道にニボシの頭をおけばよい

山の分れ道で困る時、棒を立てて転んだ方へ行けばよい、またつばを左の掌に吐き右手二本の指で叩き多く飛んだ方へ行けばよい

いびきをかく人になべぶたをかぶせると止まる

誕生の時、歩けない子は誕生餅を背負わすと歩くようになる      .

乗り物で旅をする時、梅干を額にあてるとよわぬ

手足にまめができた時「こんな所に出来て恥しくないか」と三度となえるとなおる、ただし人に教えると駄目になる

 

   疾病に関するもの

 

端午の節句にとったしょうぶは、ようや、ねぶつの薬になる

四畳の間に病人をおくと治らないし助からない

蜂の巣を煎じて飲むと淋病の薬になる

のんだ薬びんを割って片附けると病気がなおる

薬を高い所へ上げると病気が重くなる

薬土びんの口を北向にするな、戸間口の方へ向けよ

墓に上るとつかもが出来る

病人を北の方へ向けてねかすな

 

   その他

 

竹の子を指さすな、げんこでさせ、指さすと竹の子はくさる

七夕の朝、寝坊すると一年中寝坊する

セキレイの巣をとると「トトカカ死ぬ」または「なべかまわれよ」といって鳴く

蛇を指す時は握りこぶしで指すものだ

猫の鼻と女の尻は土用に三日暖いだけだ

猫の尾の先には病気がある

朝商いは縁起がよい

炬燵の中で足をゆすると貧乏になる

狐がなくとその年に疫病がはやる

山や畑の境をせると死んでから枕飯が早く出来ぬ

囲炉うらのすみを女がまたぐと誰か火傷する

まゆげをそると狐に化かされる

げじげじ虫になめられると毛が抜ける

大工が道具箱を払うとその家は衰える

下駄をはいて餅をつくものでない、不幸のあった時の餅は下駄ばきでつく

自在かぎに何にもかけずに火をたくものでない

臼に腰をかけるものでない

年取りの日に早寝をすると早く老ける

二人で一緒に火を吹くと勝負けができる

火事の時仏様を出さぬと馬が出ない

火事の時馬に女のフソドシをかぶせて引出すとよい

桑の木から落ちて怪我をするとなおらない

ほこりをワラ束ではくものではない

障子からはいだ紙で尻を拭くと痔がわるくなる

野ぐそを日に照らすとばちがあたる

家の中で口笛をふくと家の神様が嫌う

茗荷を植えるとその家は繁昌する

雨蛙の小便が目に入ると目がつぶれる

みみずに小便をかけると陰部がはれる

山で紙をふると魔物がつく

山で笛を吹くと天狗が連れて行く

南北に二又になっている木は日通しといって伐ってはならぬ

金比羅様の祭日に川で洗濯するな

竹は日が入ってから切るものだ

虫をやたらに殺すと耳の中で火をたく

寒中に墓の屋根を取るものでない

いたちが道切りをしたら戻れ

蛇が下手へ道切りをしたら家へ戻れ

寒に馬のくつを拾うと厄病神がついて来る

馬のくつを拾って恵比寿棚に祀ると身代がよくなる

正月三ヵ日は塩を食うな

寒中は庚申様を祀るな

仏壇から下げた茶湯は雨だれの外に捨てよ

水は三尺流れると水神様が清める

火の玉が自分の方へ向えば運がよい

火の玉が遠くに行けば行った方に災がある

くもが朝くると良い事がある

朝くもをふところに入れると金が入る

夜くもを見たら殺せ

上が平らな枝振りの木は神様の休み木だから伐ってはならぬ

五月の節句にしょうぶ、九月の節句に菊をとおした酒を飲めは狐にばかされない

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