木製建具、生活にとけ込んでいますか?
2003/06/25


建具は使うもの
「全国建具展」というものをご存じでしょうか?ちなみに今年は7月に滋賀県大津市にて開催されます。出品するためには建具組合員でないと出品できませんが、そのためだけに建具組合へ戻ってきたところもあります。賞でもとれば名が売れる、ハクがつくってとこでしょうか。私も周りの同業者も何度も建具展に行っております。「総理大臣賞」受賞の建具も見てきておりますが、何千万の価格もついており、誰が使うんだろうと困惑してます。家宝とはなっても、とても使えないし暮らせないでしょうね(笑)
動かさない欄間、ほとんど動かすことのない書院などは飾る建具としての志向が強いようです。私としてはごちゃごちゃと飾ると、見た目は芸術でも飽きがくるのも早いと思います。「賞」でもとっていれば飽きてもお宝にはなりますけど。
「賞」をとるほどの製品として出来たものは立派で、芸術品です。材料を吟味して年間かけて作るんですから、とても建具業を糧として生活してて作れるものではありません。その昔、お弟子さんに1年かけて作らせたら賞を取れたという話は聞きましたが、現在では「賞」をとるために作っている製品、建具ではなくて芸術品です。事務からトイレ掃除までやっている私にはとても作ることはできません。生活の糧としての仕事をしながら、「賞」をとれる製品を作る時間を捻出できるとしたら凄いことだと思います。今から息子に、他の建具は作れなくてもいいから、組子細工の一品芸術を作れるように教え込もうかしら。構想が良ければ刻みは機械だし…。
いいかもしれない!20数年前は100名を超していたこちらの建具組合員も、現在20名いないとかいってたから、「賞」をとれる確率も高くなる計算だ。もっとも今後の「全国建具展」開催が危ういとの話も聞こえてきているけど。
しかし、「賞」をとれるほどのカリスマ性のある建具屋さんがいたとしても、美容理容師業のようにお弟子希望者がいないのが現実です(^^;
使えない芸術建具はさておいて、普段使う建具はスムーズに、何も気にすることがなく、生活にとけ込んでいるのが一番です。そこにあることを気にもしなかった建具が、動きが悪くなったとたん行く手を阻む障害となってしまいます。そう感じたらお近くの建具屋さんに連絡してみてください。病の手当は早いほうがよろしいようです。建具屋さんがわからなかったら、少しでも建築にたずさわっている方に声をかけてみてください。業者つながりで何とかなるはずです。
現在私は木製2本建ての玄関戸を作っております。もし、木製玄関の引き具合が悪ければ戸車を替えればスムーズに動きます。安い戸車はダメです。ベアリング入りで安物の4倍も5倍もする戸車をチョイスしてください。動きの良いまま10倍は保つはずです。もっとも、鴨居とレールまたは敷居がねじれていたんではどうしようもありませんが。

戻る