過去ログ




鶴の丸


 鶴の丸であります。水引で作る事でこの紋章の美しさはさらに発揮されていると確信しております。決定稿が決まるまで三年はかかりました。自分達が常々心がけ守っている事は、必然性ということであります。水引細工における必然性は水引細工であるべきかどうか?水引細工の本質的な方向性と沿っているか?と言うことであります。
 水引細工として世の中に喧伝される物には、何か他の細工物を水引でその形をなぞったという内容の物が多く、 水引の魅力や意義、題材の内容や本質に対する取り組みが感じられないものが目新しさや一時的な話題性を理由に掲載されている場合も少なくありません。特に技術的・力学構造的な部分での共通の多い籠・ざる系の細工の写しに近い物が一番多い気がするものであります。

 下請け上りの私どもですから、表看板に書かれていることの裏側から知っておりますのでしきたりや習慣といわれていることの意義と無意義ともに理解しているつもりであります。良い細工を心がけるということは、形ではなく内容を込めることであり、形を決めてきた「方向性」を守り続ける事と考えております。



正月飾り


拡大画像参照水引正月飾り天晴白扇

拡大画像参照水引正月飾り天晴金扇
企画水心、デザイン水心とその師匠及び水心の妻、細工師匠で作成した正月飾りです。


   巧の技 水引正月飾り「天晴」

「飾り海老水引長く結いにけり」と元禄の俳人風伯も詠んだ水引の正月飾りの風情を現代に蘇らせた作品です。

 デザインから製作まで工芸作家の手になる正真正銘の「メイドイン信州飯田」、本物の工芸作品の正月飾りです。

注連縄は「七つ星結び」といういまや結ぶ人の稀な貴重な結びで作成!継ぎ目無しの一連なり注連縄であります。ちなみに除夜の鐘にちなんで水引を百八本を用いた贅沢な作り!つりあい・調和が縁を円満に繋いで行くという縁起であります。

飾りは、年神様を呼び、福を招き縁を招く扇に富士に見立てた松結びをあしらい、橙は水引マイスターならではの「星玉結び」で表し、初日の出に見立てたあしらいで飾りました。 
 そして伊勢海老は髭の長いお目出度い姿に作り、総て結びだけで作られた古式ゆかしい水引伊勢海老であります。



k
展示会
イマジネーションファクトリー展示 
 初挑戦であった割には自分的には良かったと感じております。写真は誘ってくれた親友のカメラマンHI-LOG先生(感謝であります)。飯田・下伊那と、田原市や三河・美濃・尾張の作家の方々の様々な作品にふれて、改めて作り手魂の炎に油を注いできました。
 これまで飯田の外に自分の作品を出したことが無かったのですが、これからはある程度は外向けの発信もしていかなければ行けないと感じた次第であります。
 参照「Imagination Factory Exhivition

 展示会に挑戦します。

 縁あってイマジネーションファクトリーと言う地元のクリエーターの集まりの展示会に水引作品を出すことになりました。場所は江戸時代の真の学者にして為政者「渡辺崋山」先生ゆかりの地愛知県田原市でありまして、展示のために今度初めて行く予定であります。
 テーマは環境ということで、テーマに即した縁起物を幾つか、新作も作っての挑戦であります。自分の代ではお店以外の場での展示はほぼ初めてのことなのでここ数日悩みっぱなしです。田原市近隣の方々で興味のある方是非見てあげてください。参照「−第4回 イマジネーション ファクトリー エキシビジョン−

永楽通宝

 
 仙石様の限定家紋に近い御紋章であり、今のところ注文は仙石様からのみであります。二年か三年に一枚ほどであります。
 近年大名仙石家の初代の方が漫画となり、非常な好評を博したのでありますが、相変わらず実際に見た方は「このような家紋があったとは知らなかった」と仰ります。ですが、皆その姿の美しさと、深い謂れに感動されます。
 織田信長公ゆかりの、「楽市楽座」という誰でも知っている歴史用語とも繋がりの深い家紋であります。

 招き猫作成中
水引細工の招き猫 縁起物 水引工芸

 頭と手、そして胴から尻尾まで、五本一揃いの水引を結んで細工したもので、時々最後まではさみの出番が無いままで完成する文字通りの究極設計です。後は鈴などの付属パーツの選定と詰めだけかなぁというくらいです。
 
 猫には沢山の思い出があります。六メートルの竜を作っていた最中に最愛の猫を交通事故で無くしたことがショックで、以来猫を飼おうという気持ちになれないままで生きています。
 時として動物や植物のほうが人間より気高いことがあると思います。神聖なものを感じたときにそのことを丁寧に記憶するよう心がけております。
 水引招き猫には自分の経験した猫と言う存在の神秘と気高さを込めて作成しております。



 水引細工のうさぎです

 私の自信作の一つ「水引うさぎみずこころ式」です。
水引の基本の定寸「三尺」をほぼ使いきり、耳の先から尻尾まで総て一つながりの構造で、三つの異なった結びが連続して形成されています。
 見てから作るのはやってる人なら当たり前に出来るでしょうが、何も見ないで作ったことが一番肝心です。これは自分の娘が生まれたときに思い立って、娘が自分の干支を覚え、自分の干支であるうさぎを作って欲しいと自分に言った日に形になった作品です。約三年かけての作品です。当然無断で真似しないでください。
 「追加で部品を継ぎ足すこと無しで、最後の仕上げ工程以外にはハサミの出番は無し」という工程で完成する細工を、自分では勝手に「究極設計」なぞと呼んでおります。構造・素材の性質からして後どれくらいこの「究極設計」で作られる細工が残されているかわかりませんが、そう多くはないと思います。ですから、なるべく全部自分がやり尽くしたいと思っております。
 家紋も得意ですが、結びも得意であります。自分にとっては水引家紋と水引結びの細工の間に隔ては無いです。何れも指先で水引と対話をしながら形作る細工であります。

 水引家紋拡大図  水引細工師 水引工芸作家 水引家紋 水引細工
 最近のご紹介
 ブログ「ちゃちゃの手作り」様
 師匠と私どもの作品である「化粧まわし(赤富士と唐獅子)」それから家紋売り場の様子の写真を掲載していただいております。
 
水引細工 水引家紋 水引工芸 



丸に三つ盛瓶子

 歴史上にその名を轟かせる宇佐見・宇佐美氏とその代表的家紋「三つ盛瓶子」!その活躍の実像は武田武士団の軍師山本勘助同様に不明瞭であり、それゆえか描写のされ方も今ひとつ冴えたものが無かったものでありますが、今年はだいぶいい感じです。
 緒方拳演じる宇佐美定満の独特の存在感はとてもその性質を表していると感じます。戦国時代には無名のものとしての活躍しかありえない者達が多くあったと思うのです。そして無名のまま大きな活躍を残して消えて言ったのだと思うのです。しかしその無名の存在の活躍は多くの心に残り、山本勘助や宇佐美定満のような伝説的な固有名詞に集結するのかもしれないと感じるのです。

 
山桃
 山桃の紋章が有るといわれておりますが、その姿を見ることも稀で、まして用いている人と会うことは殆ど無いものであります。
 山桃とは山に自生し、桃に似た味の実をつける木で有ります。その姿はかわいらしいもので、最近は庭木としても人気があるのか、住宅街でその姿を見ることがあります。
 梅雨の頃が旬で、今時分もその実のなった姿が見られるのでありますが、先日山桃紋を用いていらっしゃる方を接客させていただき大変驚きました。どうも季語や旬と家紋に関連性があるようです。
 山桃紋はまだ作ったことの無い紋章ですので、是非作って見たいと考えております。
 梅雨明け前までの間限定で、画像をメールに添付して注文いただけたら底値で受注させていただきますので、山桃紋を用いていらっしゃる方いらっしゃったら是非!

 参照
 武田青果様
http://www.takeda-seika.co.jp/html/jiki/yamamomo.html

 高知県の県花であるそうです。
http://www.orenjiha-to.com/1yamamomo/index.htm

 紋章の姿は実際の山桃に似たものです。
 またこの山桃こそ、古事記のなかでいざなぎさまが黄泉の国のもののけに投げつけて退散させた桃といわれております。

 
 源氏香図
2007.07.10 Tuesday 00:13
 源氏香図は、紋章といっても、あまりに特異な用途と家紋としての実用例の少なさから、姿形は見えているのに幻の家紋といえるものであります。
 源氏物語になぞらえてお香の組み合わせ方に名前をつけたものとされ、その組み合わせを聴き分けるというものであったそうですが、今日は殆ど行われていないそうです。お香の世界においても幻の存在なようです。
 模様としては着物や帯の模様として今日でもメジャーな存在でありますが、源氏香図がその模様の存在のバックグラウンドである源氏物語のもつ美しい世界観と気配を見事に表現しているからで有りましょう。
 源氏物語は、日本の美術工芸に関わるものにとっては色々な意味で「源泉」と言える存在であると思います。何度も何度も読んではため息をつき、その捉え所の無い「幻」感にいつもいつも煙に巻かれたような気持ちになったものであります。
 どうにかしてその心を震わせるものの正体を見出したくて、必死でそれを自分の手で実体化したいという情熱に駆られるのであります。


   過去ログ一
 
七夕近し梶の葉
2007.07.04 Wednesday 23:58
 七夕と言えば五色の短冊ですが、古来は梶の葉を飾ったそうです。梶の葉は、大変大きな葉ですので、字を書くこともできそうですが、墨をはじきそうです。今度絵師と一緒に実験して見たいです。
 梶の葉は、その姿が一定ではなく、楕円形のものから家紋にあるような切れ込みの入った形まで同じ木の同じ枝の間にも様々な形をします。正直言って桑・楮・梶はぱっと見見分けがつきません。梶は野生でも生息しているので、山で見るものが梶と言うくらいで見ておりますが、家紋を作っている関係で、きちんと見れば梶・楮・桑の見分けはつきます。例によって味ですが・・・葉っぱの味はどれも同じで!皆特上の青臭さ。紙の原料となる川の味は、外側の外皮を除くと少し甘い香りのするもので、しっかりかむとガムみたいな食感になります。あと桑の実は濃い紫色ではおいしいのですが、楮は色が赤〜オレンジ色ですっぱく、梶は色は楮と同じ感じで渋かったです。



御柱祭り
2007.06.18 Monday 03:11
 飯田にも縁の深い信濃の国の一宮諏訪大社は上社のゆかりの方と御店にて話をする機会に恵まれました。ちのの方でありましたが、御柱祭りは既に大きく動き始めているとの御話でありました。
 数えで七年おきの祭りでありますが、柱となる木の事など予め決めておかなければならないことが多く、頂点となる祭り本番目指して上り坂を登るようにして盛り上がっていく様を様々聞かせていただきました。
 古代の祭りの姿を伝えるとされる天下の奇祭「御柱祭り」楽しみで有ります。
参照「http://onbashira.jp/

2007.06.21 Thursday 20:25

 重ね臼?という家紋の実在情報!!!!どなたかご使用の方いらしたら画像をください。お礼はその画像を元に作成した根付けとさせていただきます。前代未聞の家紋?かも知れません。水心初めて耳にした家紋です。

 今日の家紋 州浜・須浜
 大雨警報が出るほどの雨降りであります。霧が立ち昇る天気で、激しく振ったかと思えば不意に晴れ間も覗くという、梅雨前の独特のものであります。
 子供のころ、前衛芸術家を父に持つ友達がいて、良く一緒に遊んだのですが、この季節に雨が降ると「晴れたら河原に行こう」というので、連れ立って雨上がりの河原、伊那谷の本流である天竜川の河原に行ったものでした。
 雨上がりの河原は洗い上げられたピカピカの石と、真新しさを感じさせる流木や漂着物!?がまっさらに光って足跡一つない砂地に散らばったそれはとても美しく、また新鮮な気持ちになれる特殊な時間・空間でした。
 芸術家さんは「ウオー」と喜びの叫びを上げつつ石を積み上げ、木を積み上げては誰のためでもない自分のための作品をつくり、自分立ちも真似して石を積み上げ流木を積み上げては思いのままに真新しい大地を自分の天地として楽しみました。
 特に愉しかったのは、誰にも邪魔されず誰にも気兼ねせずにすむ中州で遊ぶことでした。白砂青松の中で、丸きりの無邪気な一人間でいられた愉しい記憶です。
 真新しい砂の嶋、松が生えはじまったばかりの地面を紋章かした物が「州浜・須浜」紋です。
 きっとまっさらな未来への願いが込められた紋章なのだと思います。
 今年は、丁度自分の「州浜の元体験の月」に州浜紋の本場常陸の国のお客様をお迎えすることができ、何か不思議な縁を感じております。
 
 ロカイユ・ロココ・防波堤の歌・kingcrimsonのislands、色々なイメージを込めて州浜をお作りしております。


ナンジャモンジャ

 今年もナンジャモンジャの花が咲き、大勢の御客様から「あの花は何の木の花」と尋ねられました。
 文字通り「ナンジャ?」と首を傾げてしまう不思議な咲き方をする不思議な形の花。その花の咲き誇った様はあるお客様曰く「まるで雪を被った様な・・」という表現がおそらく一番ぴったりな形容でしょうか?とにかく不思議な花です。
 お店の駐車場の隅にあるナンジャモンジャは、五月下旬の隠れた名物で、花が咲いている間中その質問をされます。飯田の地には、弘法大使の杖が気になったと伝わる樹齢が百年ともにひゃう念ともいわれるナンジャモンジャがあるのですが、大きすぎて却ってナンジャモンジャらしさが実感できないほどの大木です。
 水引で作ってみようとも思ったりするのですが、やって見ると「まだ10年早い・・・かなぁ・・・」というできの物しか出来ず、であります。修行には終わりが無いので有ります。

 今日の家紋 結い柴
 全国の白鳥様・犬養様・柴田様ほか結い柴紋を用いております方々、只今水心結い柴を作りたい気持ちであります。
 結い柴紋は大変に希少な紋章でありますが、私どもにとっては幾度か注文を受けてお作りさせていただいております愛着のある紋章でありますので、必ず美しくお作り出来ます。
 本日より一週間以内に限り、水心の別サイトにて底値の30000円にて先着三名様の注文を承ります。メールにてお問合せください。なるべくは画像付でお願いいたします。納期は四十日程度であります。
 一本目
 どの一本も最初の一本目と心得て細工をする。家紋額のような貼り合わせの水引細工での心得であります。
 最初の一本目は、色々な意味で肝心かなめでありまして、その日その日で湿度・温度などによって水引のその日の調子が変ってくる、その調子を指先で確かめるのも最初の一本目であります。
 水引そのものが気難しい素材でありまして、どんな季節に製造されたか?で微妙にリアクションが違い、さらに湿度によってやわらかさ・しなやかさが変り(糊が湿気を吸ってやわらかくなる事などが原因)、鋏に対しての反応や、断面のヨリの反りも変ります。
 とにもかくにも素材に従う心が大事で、こちらがへりくだり、伺いを立てる事から始まりです。

 杜の都へ
2007.05.29 Tuesday
 今日、可愛い私のフクロウ達と、金魚達が杜の都仙台へ旅立ちました。昨日の今日で、金魚達(紅白の夫婦金魚)が初陣を飾り、フクロウもつがいで飛び立ちました。お客様から直に御褒めの言葉を頂き、まるで自分の子供を褒められたような少し気恥ずかしい嬉しさで、きっとあの時は顔が真っ赤だったであろうと思っております。
 感動は製作のモチベーションであります。本当に嬉しかったし、嬉しい気持ちを感謝の気持ちに変えて、それをこれからの製作に込めたいです。
 褒められたのは自分ではなく、水引が褒められたのだと言うことを肝に銘じ、けして奢ることなく修練を続けようと気を引き締めるのであります。
 仙台は訪ねたことがなく、イメージだけでありますが、仙台から入らしたお客様は皆文化的な方が多いと思っております。


  今日の家紋
 今日は「陣笠に鏑矢」という御紋章についてお客様よりお話を聞かせていただきました。日本は広いです。珍しい家紋はまだまだ沢山あるようです。日々が勉強で有ることに終わりは有りません。

金魚
2007.05.27 Sunday
 今年の新作!!!金魚がやっとのことで完成(お客様に販売可能になったの意)しました。水心が仕事をさせていただいております机の横の飾り棚にかわいく揺れておりますので、是非ご覧意なって見てください。結構自信作です。構想から三年と、珍しく短い時間で完成です。
 当然、これからもまだまだ洗練していくつもりですし、当然ですが、どんどん上達するのでもっともっと美しくなると思いますが、今生まれたばかりのものの独特の新鮮な生命力のある作品となっております。
 水引工芸館せきじまにいらして、是非ご覧になってください。
参照「http://mizuhiki.shop-pro.jp/?mode=f1





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 by水心