結びその一「淡路結び」
あわじ結びは日本式「ハートマーク」です。欧州で心そのものや心と心の結びつきを意味する「ハート」はキリスト教の聖職者の象徴で、アーサー王物語などでおなじみの「聖杯」に由来するのだそうです。
人間共通の感性があるのか、思っている以上に文化同士は交流が深いからか、愛情や、心と心の結びつきを表す図形は世界中どこでも似ているとも言われています。
「あわじ結び」もハートマークに似た図形ですが、このあわじ結びはそもそもは公式のめでたい行事に欠かせない食物であった「あわびのし」に由来すると言われています。ところが、あわびが高価なものであるため紙であわびのしの形をかたどった「かみのし」で気持ちを表し・伝えることが多くなり、さらにはなんに「のし」と書いた封で公式のものと言う目印をつける・またはあわびのしをかたどった結びで封書を綴じることで公式のものである気持ちを伝えるようになった。などと言われております。
「むすび」に心と心の結びつき「えにし」の意をこめるのは、ある意味日本人特有の感性ですが、最も愛用される「あわじむすび」は、結びとしての完成度の高さと、造形としての美しさと可愛らしさを兼ね備えた「究極の結び」といえましょう。水引細工においても、最も最初に教わる結びで、基礎の基礎でありますが、求めても到達できない永遠の高みとも言える結びであります。
自分自身生涯で一度も満足したと言えるあわじ結びがありません。果てしなく奥が深いのです。
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