水引 飯田 家紋 冬 自然
冬の隠れ谷
冬の谷、うめもどきと竹↓
師走、正月と、時が過ぎる間に干し柿は出荷され、谷はすっかり色を失い、竹や松の緑の他は皆眠ったように生気を潜めます。そんな冬の間、日陰では地面は凍りつき、川も氷柱交じりの流れになって勢いがありません。
やはり「雪」の日の美しさが素晴らしいのですが、南信濃は高い山意外では雪が少なく、すぐ解けてしまうので滅多に出会えません。雪の降るさまもまた良いのですが、一番は、夕方からの雪が夜中降り積もって、明け方までで降り終わった時の朝でしょう。澄み切った空に白く輝く赤石が聳え、真新しい白に包まれた木々と谷の眺めは、静けさが体中に沁み込んで来るようです。特に旧正月頃にこのような雪の降り方が見られる記憶があるのですが、真新しい純白の眺めは、心の中まで真っ白く真新しくしてくれるような気がするもので、ああ新年がきたのだなあと実感する場面であります。
不思議なもので、雪の積もるこの頃どの梅の木もほんの僅かばかり花を咲かせます。本格的に咲くのは三月過ぎなのですが、わざわざ雪と一緒に花をつけるのです。菅原道真の漢詩などにもそういった景色が詠まれていることを考えれば昔からずっとそうなわけで、本当は不思議でもなんでもないのですが、栽培し収穫すると言う視点から梅と接していると、どうしてもこの咲き方は納得できません。