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              夏の隠れ谷
 背景画像は真夏の空です


 夏の隠れ谷は、他の季節の静けさとかけ離れた騒々しさがあります。つまりセミです。セミがまだ本格的に鳴かない初夏は、崖には藤が咲き、空も風も澄み切って気持ちが良いのですが、都会の人、女性には恐らく紫外線が強烈でしょう。また、農家の人たちも田畑の「虫対策」におわれており、特に果樹の植えられている場所では特に忙しそうにしており、のんびり散歩できる雰囲気ではありません。


 柿や、稲、トウモロコシの葉っぱが艶々と照り輝き、果樹の木々には青い実がぶらさがり、目の前で膨らんでゆくかのように元気一杯に日の光を浴びている様は、それはまたいい眺めなのですが、南信濃の夏は、日中それなりに暑いので(地球温暖化?の影響を受けてか)、特に標高が高いわけではない谷は過ごし易い場所とはいえません。もう少し標高の高い山地や、中・北信濃をお勧めします。


 温暖化についてはそれなりに実感があります。南信濃でセミといえば、春ゼミ・ニイニイゼミ・アブラゼミ・ミンミンゼミ・ヒグラシ・ツクツクボウシですが、ほんの四五年前からクマゼミという、そもそも九州など、南日本を中心に生息しているはずのセミの声が聞かれるようになったからです。他にも、昔はいなかった昆虫として、キリギリス、玉虫が上がるでしょうか、いずれも本来もう少し南若しくは低地にいるはずです。


 夏は昆虫の季節ですので谷の昆虫についてもう少し、まずカブトムシ・クワガタムシは一通りの種類がいます。特に山地にしかいないらしいミヤマクワガタは結構普通にいます。オオクワガタは自分が子供の頃は人気が無かったため特に探さなかったのであまり見ませんでした。いる事はいるようですが多くも少なくも無いでしょう。私は相変らずオオクワガタには興味がわきません。 


 次は蝶。初夏のヒメギフチョウを筆頭に、ミドリシジミ・ウスバシロチョウ・オオムラサキ・コムラサキ・スミナガシ・アサギマダラ・ミヤマカラスアゲハ等多くの種類が見られますが大分数が減ってきました。
 ハンミョウは、玉虫と並んで生きた宝石と呼ぶべき輝きをまとった昆虫です。虹色の残像を残しながら、道案内するように人の歩く先を、先へ先へと行くので「道教え」という呼び名もあります。主に踏み固められた土の道に生息し、バッタなど他の昆虫を捕食して生きています。運良く群れ飛ぶ様を目にしたことなら、きっと記憶に残る幻想的な光景であると思います。


 バッタの類は数限りなくいて、八月頃からは様々にその泣き声を響かせます。また、田んぼの用水路にはタガメ以外の水生昆虫のほとんどがいると思われ、川にはトビケラの類が文字通り佃煮にするほど(最近はそうでもないかも)います。それから、多種多様なトンボ。そして、私に臨死体験をさせてくれた「スズメバチ」を筆頭とする蜂、ちっともありがたみの無い蚊、刺されると痛いアブ・ブヨ、存在を無視されがちなヨコバイ、見たくないといって差し支えない芋虫・毛虫。カミキリ・ゾウムシ・フンコロガシ類等マイナーな甲虫達・・・・良くも悪くも昆虫天国です。














夏の花たちです。

     牡丹↑           鉄線↑         杜若↑


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