営林署の山の神

   梨本貯木場 1995.3

 
 木沢梨元、営林署貯木場の山つきに木の鳥居があり、そこに山の神がまつ
られています。

 この山の神は大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)といい、下條村にある入登山神社から

分祀(ぶんし)したもので、大山祇命
(おおやまづみのみこと)をまつり、山作業の安全を祈願

しています。

 大山祇命は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の子で、大山津具神とも記し大山祇御祖命

(おおおやまつみおやのみこと)
ともいい、山を主宰し、山神を統率する神ですが、

愛媛県越智郡
(おちぐん)大三島町の大山祇神社では水軍の守護神として信仰を集めました。

 遠山谷は広大な山林を有し、木材の宝庫として江戸時代には樽木(くれき)を年貢として

搬出していましたが、明治二十九年には王子製紙が共有山林の伐採を始め、昭和三十五年

ころまで和田の町は林業景気にわいていました。

 この山林業務にたずさわる人たちは、山師・杣(そま)・ヒヨウなどと呼ばれていましたが、

彼らは山へ入るときはいろいろな行事をして、山での災難除けを
していました。山の神をま

つり、御神酒を奉じおはらいをしたり、赤い紙と
白い紙を重ねて三角に折り、それを棒にさ

して山の所々に立てたりしました。

また毎月一日と十五日は仕事を半日で終え、山の神をまつり安全を祈ったりもしました。

それほど、山の仕事は危険が多かったことも事実で、営林署でも大勢の方が山で命を失い

ました。

その霊をなぐさめるためと、安全を祈願するため、営林署は毎年四月十四日と十月十四日

にこの大山祇神社で例祭を行っています。

注)営林署の山の神は、平成十三年三月に事務所に隣接する敷地内に移転しました。

    営林署の山の神

次の作品へ