畑の名称


 遠山谷は、中央構造線上にあって地形が急峻で、田はもちろん畑を開墾するにも大変な苦

労をしてきました。

木を切り、根を掘り起こし、石を拾い、すこしずつ、少しずつ開墾していきました。

先人たちは、日当りの良い、少しでも平らなところは田や畑にし、住む家はそのすみの方に

建てました。

 名古山にヤズカ畑と呼ばれるところがあります。

 それは、畑をうなぐ(耕す)ときに出たイシックラ(小石・石)を捨てたところで、ヤズカ

とは、(石垣・石堤のことで、名古山の畑のクロ(周り)には畑
からでた石が高く積み上げ

られています。

 また漆平島(しっぺいじま)の畑はぜリ畑と呼ばれています。

 遠山では、小石のたくさんあるところをゼリックラといいますが、漆平島の畑はたいへん

小石が多いのでそう呼ばれたのです。

 そして梶谷(かじや)にはツジ畑と呼ばれているところがあります。

 ツジとは、ツイジカケからきた言葉と思いますが、ツイジは石垣のことで築地と書きます。

やはり開墾のときに出た石を積み上げ、畑を作っていった
のです。

 他にも石塚などもありますが、いずれもサガシ(斜面)の、それも石の多い土地を開墾し、

耕地にしていった先人たちの苦労が偲ばれ、地名がそのこと
を物語っています。

地名からそこの歴史がわかります。

地名は、歴史です。

           梶谷 ツジ畑
           漆平島 ゼリ畑

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