池口の霜月祭り面

      池口の天白社


 南信濃村には霜月祭りに使われる一九九個の面のほか、梁の木島番所・名
古山八森神社・

青竜寺・木沢八幡神社の面が知られています。

 このほかに池口の稲荷神社に三個の面がありました。色彩は施されていませんが、霜月祭

りに使われる面によく似ています。

 この稲荷神社は、昭和のはじめころまでは三月初午祭りには花火が打ち上げられ、大勢の

人々で賑わったということです。松下正幸さん(池口・明治
四十一年生まれ・故人)は子ど

ものころ、初午祭りがたいへん楽しみで、こ
の面をつけて遊んだことをよく覚えているとい

うことですが、
霜月祭りのような湯立てはしなかったということです。気を付けて見ると、

鼻が欠けるなど面のあちこちに傷があり、確かに子どものおもちゃにされていたことが伺い

知れます。
また、中立の白沢秋人さん宅隣にある高津神社(入登山神社分社)にも秋葉面な

ど三個の面があります。これは昭和二年に作られたもので、神主が霜
月祭りの行われる中立

稲荷神社へ奉納しようとしたところ、神社の床が抜け
落ちたため反対されたという曰く付き

のものです。(白沢さん談)

 このように遠山谷は面の宝庫で、よく調べれば新たな発見や、おもしろい話がまだまだ出

てくるのではないでしょうか。

     池口 稲荷神社の面     中立高津神社の面


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