梶谷(かじや)シャグジの石碑
川合 シャグジさま
 此田と川合のシャグジさま

    此田 シャグジさま


 此田
(このた)集落の越下倉臣さん宅から少し下ったところの山林内に社があり、

シャグジさまと呼ばれる神様がまつられています。

越下さんら四戸で春にお祭りをしますが、以前は十七戸で春夏年二回していたというこ

とです。
また、川合(かわい)にあるシヤグジさまは山崎一(ひとし)さん個人でまつって

いますが、正月には松飾りを供え、豊作をお祈りしているとのことです。

柳田国男は、「どういうわけで社宮神(しゃぐじ)・社護神・遮軍神(しゃぐじん)

などという変わった神の名が、ひろく中部地方とその隣接地とだけに行われているのか、

不可解」に思い調べましたが、「諏訪が根源で木の神ではないか」と推測しています

(石神問答)。

 茅野市守屋山ろくには、神代の昔から連綿と続くミシャグジ信仰があります。

ミシャグジ(またはミサグチともいい、御左口神・御作神・御作口神な
どと書き、その呼

び方は二千以上、あて字も二百以上にもなる=今井野菊)
神は地母神であり、土地の神様

であり、岩石に降座し、巨木に天降
(あまくだ)ったといわれております。

 このミシャグジが、長い年月をかけ東日本全域に広がって社宮神・社護神・遮軍神とな

り、遠山ではシャグジやシャゴジのように、呼び方もさまざまに
変わっていったのでしょ

うか。

 それとも、各地に石神(しゃくじん)やシャグジと呼ばれる自然石や猿田彦命

(さるたひこのみこと)
をまつった道祖神などがあり、これらと同じなのでしょうか。

 石神とは、自然石や石棒、石剣(せっけん)、玉(ぎょく)など、人工を加えた石を神霊

としてまつる石神
(いしがみ)信仰のひとつです。

すでに石器時代におこり、環状列石はその祭場であっただろうといわれ、生成、生殖の神

として、また五穀成熟、縁結び、さらに道祖神として現在に伝えられております。

ミシャクジの研究は、今井野菊(茅野市の郷土史家・故人)さんらの研究によって明ら

かにされてきましたが、ミシャグジ社を守る守矢家
(もりやけ)第七十八代目の守矢早苗さ

んを中心に、膨大な守矢文書の解読が続けられております。

 いずれにしても、天白さまもそうですが、ミシャグジも石神(しゃくじん)も謎の多い不思

議な神様、信仰といえます。

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