上村中郷八幡神社の 管粥(くだかゆ)神事

 中郷 管粥神事 栗と管を煮る


 上村中郷にある八幡神社は、遠山の霜月祭りで知られていますが、ここで
は二百年続いて

いるという珍しい管粥の神事が、毎年二月十四日に行われて
います。

 この「粥占」行事は、小正月あるいは旧暦一月十四日に粥を用いて、その年の農作の豊凶、

天候を占うもので、占い方は粥掻棒
(かゆかきぼう)によるものと、管粥・筒粥によるものと

あり昔は全国各地で行われていたようです。

粥掻棒による占いは、ヌルデ・クルミ・柳など用い、十字に割ったものを粥の中で掻き回

し、その割れ目につく粥の量によって占うものです。

筒粥の神事は上田市の生島足島神社、下諏訪町の諏訪大社下社春宮で行われているのが大変

有名ですが、ここでは十から十五センチぐらいの葦の柄
(あしのえ)を用いて占いを行います。

中郷の八幡神社では、篠竹(すずだけ)を十センチほどの長さに切りそろえたもの三十七本を

ひとつに束ね、粥を煮ている鍋に入れ占いを行うもので、管粥と呼ばれています。

神事は、二月十四日午後七時から、禰宜の坂氏と氏子総代、区の役員ら七・八人で執り行

われます。
まず禰宜が神前で、管(篠竹スズタケの束)、粟をおはらいし、神殿のすみの炉に火

をつけます。

鉄鍋に水を入れ炉に掛け、少し沸いたところに管と粟二合(粘りけのない(うるち)をつ

かいます)を入れ、沸騰させます。


 ときどき管を回し、約一時間ほど煮たあととり出し、禰宜が、一本一本竹を割り、中に入

っている粥の分量を見て、大麦から始まって世の中まで三十
七種の豊凶を占います。

今年(平成九年)の占いは、大麦五分・小麦五分・米九分・芋六分など農作物はおおむね

豊作、世の中八分で平穏無事ということでした。

       豊凶を書き込む禰宜

      管を割り、豊凶を見る

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