流された神様

 赤沢 諏訪明神社 八日市場の鎌倉さま 両手が失われている


 上村境赤沢地区の東山麓に、小さな社があります。近くの人たちは「田の
神」と呼んでい

ますが、実は由緒ある諏訪神社でした。

 明治十八年七月、八日市場東側の山林が崩落し土石流が上村川をせき止め大きな淵を作っ

たとき、茶屋(山崎博文さん)でまつっていた諏訪神社が流
されました。

それが淵の中をただよい赤沢の千本木という所に流れつき、そ
こに安置されたとのことです。

 現在、その地主の岡井栄さん(上村)ら数人が、毎年八月二十七日に例大祭を行いまつっ

ています。

 また、この災害で、旧秋葉街道沿いにあった鎌倉正八幡さまの祠堂(しどう)も流されまし

たが、村人に拾い上げられ現在地にまつられました。隻眼のご神体はこのとき両手に傷を受

けたといわれています。

 鎌倉正八幡さまは原福人さんがまつっており、八日市場の霜月祭りの十四番目に出る鎌倉

正八幡社面
(めん)はここの面(おもて)で、運良く昭和四十七年の盗難をまぬがれた面

(おもて)
のひとつです。

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