双体地蔵

梶谷三條神社の双体地蔵


 和見に、小さな石の神様があります。よく見ると、神様が仲良く肩を寄せ
あい、手をとり

あっているほほえましい姿をしています。地元では双体地蔵
といって親しまれていますが、

一般には双体道祖神といって長野県では安曇
野にたくさんあります。

道祖神は、村の里の入り口にあって、村の境を守り、疫病や悪霊が村に入ってこないよう

に防ぐ神で「塞の神」「手向けの神」「ちまたの神」などと呼ばれ
ています。

また、子授け・安産・安全の神様として広く信仰されています。

俳人の松尾芭蕉の『奥の細道』の一文に、「…春立てる霞の空に白川の関こえんと、そぞ

ろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひてとる
もの手につかず…」とあるよ

うに、旅行の安全を守る神様でもありました。

 道祖神祭りとして有名なのが、一月七日に行われる大岡村の芦ノ原道祖神祭りと十五日に

行われる野沢温泉村の道祖神火祭りです。大岡村では「神面
装飾道祖神祭」とも呼ばれるよ

うに、一・五メートルほどの文字碑の道祖神
の石碑に、わらで作った神面(しんめん)を飾り

つけるものです。野沢温泉村では、五本のブナの御神木を柱に木材で社殿をつくり、これに

正月の門松やしめ飾りを積み上げ完成させます。たいまつの火をつけようとする人と、これ

を防ごうとする厄年の男との攻防戦が行われ、やがて社殿に火がつき、雪の舞う夜空にすさ

まじい真紅の炎が吹き上がる勇壮で壮大な火祭りです。

 そのほかの地域でも、どんど焼きを道祖神祭りと呼ぶところがあり、村人の道祖神への信

仰は長い歴史があることがわかります。

 南信濃村には梶谷、三条(関野)神社にもありますが、これは昭和五十年代に建立された

新しいものです。

  小道木橋のたもとの道祖神

次の作品へ