裸重兵衛

 


  川路(かわじ)に昔重兵衛さと云う人があった。

博打(ばくち)が好きで、その癖いつも負けて、着物を取られて裸でばっかり居るので、

(みんな)は「裸重兵衛(はだかじゅうべい)さ」と呼ばって居った。

 その重兵衛さが、今夜も博打に負けて裸で帰って来ると、田圃(たんぼ)ん中で蛙が

「ハダカダ ハダカダ」と鳴いて居る。

 重兵衛さは怒って、

此奴(こいつ)め、人を馬鹿にせんな」と云って

一匹の蛙を力一ぱい踏み付けたら

「ジューベー」と云って鳴いた。

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