屁 ひ り 嫁

 


  むかし或る(うち)で嫁様を貰った。
そうすると其の嫁様がどう云うものか毎日悪い顔色をして(しお)れて居る。
  姑婆様(しゅうとばあさま)が心配をして、
「どうかしたか」と聞くと、
嫁は「お恥しい事だが(わし)はおならの出る病気がある、それを
(こら)
えて居るので此んねに顔色が良くないのだ」と云う。

「おなら位は何でもない事だ、遠慮はいらんで何時(いつ)でも出たくなったら()がいい」

と姑婆様が嫁に云うと、

「それでは姑婆様御免なんしょ」と云って、
お尻をまくったと思うとおならをブウブウ
()り出した。
そうしたら傍に居った姑婆様はとうとう其の屁に吹き上げられて、天井(てんじょう)(とこ)まで舞い上ってしまった。

婆様はくるくると目が廻りそうになったもんで
「ヤア嫁よ屁の口を
()めよ」と呼ばった。
嫁は仕方なしに屁の口を止めると、

姑婆様は天井ん所から下へどさんと落ちて死んでしまったとさ。


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