屁の親と子

 

  

 山寺に和尚とお小僧が居った。
そのお小僧はとても頓智(とんち)のいいお小僧だった。

ある日和尚様がお小僧を呼んで
「小僧 小僧今
(わし)が屁をひるで、お前其奴(そいつ)(つか)んで見よ」とそう云って
和尚様はお
(しり)をくるりと()くっておならを一つプーと()った。
(うしろ)へ廻って手を広げ待ち構えて居ったお小僧は、すかさず飛び付いて和尚様の睾丸(きんたま)を両手でぎゅっと(つら)まえた。

和尚様が
「小僧やそりゃ違うわ」と云うとお小僧の云う事に
「屁の親が逃げましたでその子の方を
(つか)まえました。」

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