三人の継子の話

 

 昔ある所に三人の継子(ままっこ)があった。

或る日父親が町へ買い物に行くと云うと、

三人の子供が出て来て、総領は羽子板を買って来て欲しいと云う。

すると二番目の子は(まり)をほしいと云い、

三番目の子は(かんざし)を買って来てほしいと頼んだ。

父親はよしよしと、お土産の約束をして出かけて行った。

 父親が留守になると、継母は三人の子供が憎くて憎くてたまらんので、

父親の買って来て呉れるお土産を楽しんで待って居る三人の子供を殺して、

大きな()の下に埋けて置いた。

 晩方になって父親が帰って来る途中で、村はずれのお宮の森で、

石に腰を掛けて休んで居ると、とても奇麗な鳥が一羽舞って来て、

大きな樹の枝にとまって

 「ととさまかかさま恋しかないけれど羽子板いらん」

と云って啼いて飛んで行った。

 父親は不思議に思って居ると、又一羽の鳥が来て

「ととさまかかさま恋しかないけれど(まり)はいらん」

と云って、舞って行った。

 すると間もなく又その樹の枝へ一羽の鳥が来てとまって

「ととさまかかさま恋しかないけれど(かんざし)いらん」

と云って飛んで行ってしまった。

 父親は、「自分の留守の(うち)に何かあったかのか知らん、鳥が

()の樹へばっかり来て、()んな歌を唄うのは不思議だなア」と思って、

樹の側へ行って見ると何か埋けた様な跡がある。

急いで掘って見ると三人の子供の死骸が出て来た。

父親はそれを見て驚いて、「此れはきっと継母の仕業(しわざ)にちがいない」と思って、

(うち)へ飛んで帰って来て見ると、全くその通りだったので、

すぐに役人を連れて来て継母を(しば)って牢屋(ろうや)へ入れてしまった。

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