燕 と 雀

 


  
(つばめ)(すずめ)は昔は姉妹(きょうだい)だった。

二人が仲よく暮して居ると、或る日の事、親が急病だと云う知らせがあった。

 妹の雀は()ぐに飛んで行って親の看病をして居ったのに、

姉の燕はおしゃれで、おまけに喋舌(おしゃべ)と来て居るので、

親が急病で六ずかしいと云う知らせを聞きながら、鏡へ向って御化粧をしたり、

着物を着更えたりして、しゃれ込んで親の
(うち)へ行った頃には

親は
(とっ)くの昔に死んで居った。 

 早く飛んで行って親の死に目に会えた雀は、それで今でも穀物の中で

一番貴いお米を食べる事が出来るけれど、(つばめ)はおしゃれをして居って

親の死に目に会えなんだ罰で、泥を喰わえては巣を作り、虫けらでなければ

食べれんようになってしまったのだ。

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