世界中で一番長い話




  大きな(くら)ん中にお米が何万俵も積んであった。

すると
(ありご)
土台の下へ穴を()けて蔵ん中へ(もぐ)り込み、

板敷の
()き間から(のぼ)って、
米俵を喰い破って、

そん中からお米を一と
(つぼ)づつくわえて巣の方へ運び出す。

 (ありご)は巣から出て来て蔵ん中へ入り、一と(つぼ)くわえて又外へ出る。

そうやって蔵ん中へ入ったり出たり、入ったり出たり、

入ったり出たり、入ったり出たり、入ったり出たり、入ったり出たり、入ったり出たり、

それを聞く人がいやになる迄繰り返して云う、

此れが世界中で一ばん長い話だっちゅう事だ。

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