相撲取りと蛙

 


 ある日一人の相撲取りが、夏の(ようさ)裸で田圃の路を帰って来ると、

蛙が田ん中で

「マケタ マケタ マケタ マケタ」と鳴いて居る。

相撲取りは大へんに怒って

「おのれ蛙の奴め、人を馬鹿にするな」と云って追っかけると、

 今度は
蛙は

「カッタ カッタ カッタ カッタ」と鳴いて逃げて行った。

 相撲取りはそれで()っと安心して家へ帰って来た。

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