ある日一人の相撲取りが、夏の夜(ようさ)裸で田圃の路を帰って来ると、 蛙が田ん中で
「マケタ マケタ マケタ マケタ」と鳴いて居る。
相撲取りは大へんに怒って
「おのれ蛙の奴め、人を馬鹿にするな」と云って追っかけると、 今度は蛙は
「カッタ カッタ カッタ カッタ」と鳴いて逃げて行った。
相撲取りはそれで漸(や)っと安心して家へ帰って来た。 次の作品へ