馬と犬と猫と鶏

 

 
 馬と犬と猫と鶏とが
(おんな)(うち)に居った。

飼い主がむごくするので四人は相談をして家を逃げ出す事になった。

家を出た四人はブラブラと当てもなく行くうちに、草臥(くたび)れたので

馬は犬と猫と鶏とを自分の背中の上に載せて、仲よく道中をして行った。

 行くうちに行くうちに日が暮れてしまったので、四人は森の中へ入って一と晩寝る事にした。

(ようさ)何か来るといかんと思って、馬の上へ犬が上り、

犬の背中へ猫が乗り、猫の頭へ鶏が乗って寝る事にした。

 夜半(よなか)頃に不図(ふと)眼を明いて見ると人声が聞こえて来る、

よく聞いて居ると二人の泥棒がお金を盗んで来て、それを此の森ん中へ来て
()けて居る所だった。

そこで四人は相談をして、一つ此の泥棒を(おど)かしてやらっと思って、

一二三の掛け声で「ヒンヒン ワンワン ニャンニャン トテコッコー」と大きな声で啼いた。

 泥棒はびっくらして取って来たお金を其所へ放って置いて、何所かへ逃げて行ってしまった。

 四人はそのお金を(みんな)持って又仲よく道中をして行った。

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