第十七章 八ツが嶽に三光あらはるゝ事

 
 彼八ケ嶽といふは、老樹鬱々青々として、須波の御射山より見れば、
東に見る所也しが、

いかにも霊山とみゆ。いづれ物ありがたく見へて、
おそろしく覺ゆ。

しかるに佐久間郡、桧原の社の、みさ山祭(27)、七月六日
七日成しが、此神事に、書三光(28)

顕はる。此祭りの時、かの八ケ嶽の間
に、日月星ありありと見ゆ。八ケ嶽は佐久間郡(29)

より西に見へる也。

(じんべん)ふしぎといへども、さてさて奇といふべし。

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